埼玉県富士見市の小学校の女性教諭が給食のカレーに漂白剤を入れ逮捕された事件を聞き、「恐れていたことが現実に…」と嘆息した学校関係者も多いのではないか。
事件を起こした24歳の教諭は「昨年度担当した学年を持ち上がりで担当させてもらえず悔しかった」とか「(現在担任する)クラスをまとめられずストレスがあった」といった動機を供述しているというが論外である。本来教師が守るべき子供たちをこの女性教諭は不満やストレスのはけ口にしようとしたのだ。
ここ数年、教員採用選考の倍率の低さが話題になっているが、同時に若手教員の質の低下を懸念する声も大きい。彼らの指導・相談にあたるベテラン教員の退職などによる減少も影響している。その結果、若手が授業や子供の指導に関する悩みを1人で抱え込む傾向が強くなっている。先の女性教諭もそういった教員の1人だったのかもしれない。
低倍率がもたらすものは教員の質の低下だけではない。事件のあった小学校を例にとれば、逮捕され欠員となった教員の補充が行われるであろうが、果たして補充要員がいるのか。地域によっては非常勤講師や産休補助代替教員も慢性的に不足している。そうなれば小学校では教頭や校長が臨時の担任に、中学校では免許教科外教科教授の申請をして充てざるを得ない。結局残された教員と子供たちにつけが回る。
このような「負の連鎖」の状況が現在国内の学校で数多く発生しているのだ。将来の国の行方に影響するこうした問題を国会議員は知っているのだろうか。