(鉄筆)岸田首相の所信表明演説……

(鉄筆)岸田首相の所信表明演説……
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 「第210国会の開会に臨み、日本を守り、未来を切り開く覚悟を新たにしています」。10月3日に行った岸田首相の所信表明演説の冒頭である。その中で「わが国の未来を切り開くため、政策を一つ一つ果断に、かつ丁寧に実行していきます」「共にこの国の未来を見据え、歩みを進めていこうではありませんか」と呼び掛けた。

 演説は「政治姿勢」「経済政策」「新型コロナ」「災害対策」「包摂社会の実現」「経済対策」「外交・安全保障」「選挙制度・憲法」と続き、「おわりに」で「この国の未来のために、これからも全身全霊で取り組んでまいります」と締めくくった。「未来を切り開く」と述べながら、教育について一言もなかった。

 ユニセフ報告書「レポートカード16」(2020年)の子供の幸福度調査によれば、わが国は総合順位は先進国38カ国の中で20位。「身体的幸福度」は1位だが、「精神的幸福度」は37位。精神的幸福度は生活に満足している子供の割合と子供の自殺率が指標であり、わが国は「生活に満足している」割合が最も低く、自殺率は非常に高い。

 本紙に連載されている「子どもの自殺を食い止める」で髙橋聡美氏は「子どもの問題ではなく、社会の問題であると捉えて取り組む必要がある」と述べている。3日に発表されたOECDの国内総生産(GDP)に占める教育機関への公的支出の割合(19年時点)では、日本は2.8%とデータのある37カ国中36位だった。

 これらの状況を首相はどう受け止めるのか。未来をつくるのは子供たちだ。子供たちに未来がないような状況でよいのか、問いたい。

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