(鉄筆)秋田県と石川県で……

(鉄筆)秋田県と石川県で……
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 全国学力・学習状況調査について、秋田県と石川県で調査前に学校ぐるみで子供たちに対し「過去問」を解かせるなどの事前対策をしていたことが判明し大きな話題となった。これらは関係の県教職員組合が調査したもので全国的にどれぐらいの学校が同様のことを行っているのかは不明だが、昔から他の地域でも似たようなことは行っていると関係者の多くは語る。

 2016年に文科省は「全国学力・学習状況調査に係る適切な取組の推進について」という過度な対策に注意喚起する通知文を出したが、今回の件はそれを無視するかのような行為である。

 かつて東京のある小学校で都の学力テストを実施している際に校長が誤答した児童の問題用紙に再考を促す「指差し」を行っていたことがあり大問題になった。結局、当の校長は更迭されたが、このとき指摘されたのは学力テストの調査結果の自治体別の公表であった。結果の公表が自治体間の競争意識をあおり各校の校長に本来の学習指導ではなく安易なテスト対策を想起させる原因を作っているのではないかというものだ。

 情報公開の原則を踏まえれば公表は仕方ないとして、学校の責任者である校長は、文科省が調査実施後に作成提供する解説資料や調査結果の分析データ、授業アイデア例などを活用し、自校の学習指導の改善について教育委員会を巻き込んだ計画的な対策をとるべきであろう。

 心配しなければいけないことは学力調査そのものを廃止あるいは縮小化する動きである。まっとうな学校経営をしている校長にとって大迷惑な話である。

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