文科省が出している「学校組織マネジメント研修~すべての教職員のために~」では、学校のキーパーソンとしてミドルリーダーを挙げている。だが、教師向けの参考書は新人や管理職向けのものばかり。本書では30~40代の教師を対象に仕事術を紹介する。
序盤はミドルリーダーの役割を記す。管理職と教師をつなぐパイプ役となって職場の風通しを良くする、他校のミドルリーダーと連携して情報共有をする、など学校内外関係なくやるべきことの多さに驚く。一方、できることの範囲の広さも見えてくるため、やりがいある立場であることも分かる。
中盤は若手教師の育成に関する具体的な方法論が並び、メンターチームの主任に求められる資質から、若手教師の授業の見方といった実用的なミドルリーダーの在り方を解説。また、終盤は働き方改革やICT活用という前例のない取り組みを、いかに学校現場に定着させていくのか丁寧にまとめる。メンバーをまとめる側であり、誰にも頼れないミドルリーダーは珍しくない。そんな不安に優しくかつ的確に寄り添う。
30~40代の教師に何を任せるべきか、何に悩んでいるのかが見えてくるため、ミドルリーダーの上司にあたる管理職にこそ目を通してほしい。また、新人教師も〝いずれはこういうことを任される〟という具体的なビジョンを持って仕事に取り組めるようになるため、中堅教師に限らない必読書と言える。