1人1台端末が当たり前となり、ICT教育が本格的に進み出している。ネット依存やオンライントラブルなどを心配する声も多く聞かれる中、学校現場では定期的に「情報モラル教育」を実施するなどしているが、ネットの危険性をたたき込むのではなく、参加型学習によって対話しながらデジタル技術・思考を身に付けようとする「デジタル・シティズンシップ教育」が注目されている。
前書となる『デジタル・シティズンシップ』はデジタル・シティズンシップの概念や目標の解説が中心であったが、本書「プラス」ではデジタル化が日常化していることを前提に、具体的な授業例と実践のポイントを紹介する。
小学校から高校までの実践例として、デジタル・シティズンシップの10の授業事例を提案。国語、社会、道徳、保健体育、特別活動など、さまざまな教科・領域の中に組み入れ、年間計画を立てることができる構成になっている。さらに、デジタル・シティズンシップの授業は家庭と学びを共有することが大切となるため、保護者向けの文書も合わせて例示している。
「保護者とデジタル・シティズンシップ」「教員とデジタル・シティズンシップ」などをテーマとした提言のほか、デジタル市民の活動と切っても切れない「著作権との付き合い方」についても解説する。教師の職務上、著作物を利用する際の判断や対応を学ぶのにも役立つはずである。