「先生、どうやったらできるの?」と聞かれたときに読む本 子どもの感覚世界に寄り添う運動指導

「先生、どうやったらできるの?」と聞かれたときに読む本 子どもの感覚世界に寄り添う運動指導
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 運動学の専門家による小学校教員や中学・高校の体育教員向けの参考書。

 序盤、男女別で転がってくるボールの捕り方の違いや自転車の乗り方、障害のある子供の水泳指導など、さまざまな事例を用いながら、いかに体の使い方を教えることが難しいのかを指摘する。大人になると、もしくは運動が得意な人は運動が苦手な子供に対して、「なんでこれができないのか」と困惑するシチュエーションは多い。しかし、子供ができること・できないことを発達段階に触れながら展開しており、冒頭から子供目線に視座を下げてくれる。

 中盤からは縄跳びやハードル走など種目ごとに解説。運動における指導は感覚的な部分に頼りがちなため、正しい方向に導くのは難しい。子供がつまずきやすい箇所を取り上げ、できない理由を言語化しており、なんとなくではない適切なサポートが可能になる。

 各種目における理解度を高めることもできるが、リレーについてしっかり深掘りされていることには驚いた。十数ページにもわたりバトンの渡し方に関する研究を紹介。「ただ走ってバトンを渡すだけ」という認識を改められ、指導の幅が確実に広がりそうだ。

 子供時代に体育の授業についていけなかった経験は、運動することにトラウマを植え付け、将来的な健康リスクにつながりかねない。スポーツ万能にはなれなくても、運動への苦手意識を克服して子供の前向きな成長を助けたい。

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