(鉄筆)「友」について……

(鉄筆)「友」について……
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 新春恒例の「歌会始の儀」が1月18日に皇居・宮殿「松の間」で開かれた。今年のお題は「友」。入選者10人の中に山梨県北杜市の中学2年、小宮山碧生君(14)の歌があった。「友の呼ぶ僕のあだ名は悪くない他のやつには呼ばせないけど」。あだ名を付けてくれた友人との関係を詠んだものだ。

 あだ名は本名の他にその人の特徴を捉えて付けた名である。どんな特徴を捉えてどんなあだ名にしたのだろうか。「悪くない、他の奴には呼ばせない」という小宮山君と友との結び付きの濃さが想像される。

 儀式終了後、入選者10人と懇談された天皇陛下は、小宮山君に対し、陛下が中学時代、盆栽を趣味にしていたことから「じい」と呼ばれていたと明かされたという。陛下は「じい」というあだ名で呼ばれることをどう受け止めていたのだろうか。想像を広げて楽しんだ。小宮山君は記者会見で「(陛下に)親近感が湧きました」と笑顔で話したという。

 「友」をお題にした入選者の歌は10首、10代から70代まで各世代にわたっている。これを「友」を考える教材として国語や道徳科、学級活動で活用したい。友の存在、友への思い、つながり、思い出、いたわり、さまざまな思いを想像することができる。詠んだ背景を考えることができる。一首を選択して「友」についてどう読み取ったか、何を想像したかを話し合うのもいい。

 31文字に込められた「友」への思いを考えることは、コロナ禍で薄くなっている人との関係、特に「友」との関わりや「友」への思い、「友」について考えるよい機会となるのではないか。

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