2020年3月から約3カ月間、新型コロナウイルスの感染拡大により小中高校などは臨時休業になった。教師は家庭訪問で子供の様子を把握したり、家庭学習の教材を配付したりして、子供とのつながりを維持するとともに学びが止まらないよう努力をした。
一方で「学びを止めない」のスローガンの下、ICTを活用してオンラインで学習を進めるべきとの声が上がった。国はGIGAスクール構想を前倒しして実施、小中学生に1人1台の情報端末を整備した。同時に経済的な理由でインターネット環境を整備できない家庭向けに国の補助金を活用して自治体がルーターを貸与する事業を開始した。
昨年10月、会計検査院は文科省に家庭学習用に整備したWi―Fiルーターのうちの約6割が一度も貸与されていないとして有効活用を求めた。貸与の割合が低かった理由として、家庭のネット環境の整備が進んだこととともに、1人1台の情報端末を使った家庭学習が進んでいないことを理由に挙げている自治体が相当程度あった。
今冬は新型コロナウイルスの感染拡大とともに季節性インフルエンザの流行が懸念され、学級閉鎖が行われる可能性もある。その際はオンラインが学習を進める上での重要な手段となる。
必要な時には全ての家庭でオンライン学習ができるように、Wi―Fiルーターを必要とする家庭について調査するとともに、学級閉鎖中に児童生徒が情報端末を操作できるようにすることが大切だ。教師と児童生徒のつながりを大切にし、学習を深めていくことが求められる。