言葉とコミュニケーション 心理学を日常に活かす

言葉とコミュニケーション 心理学を日常に活かす
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 体罰や虐待、ハラスメントなどへの問題意識が高まり、従来のコミュニケーションの見直しが迫られている昨今。本書は言葉にフォーカスをしながらコミュニケーションの基礎基本について、心理学の視点から解き明かす。

 序盤は「文脈効果」や「スキーマ」「栄光欲」といった心理学の専門用語の説明に加えて、「私たちが発する言葉には、それを文字通りの意味で受け取ってよいものとそうでないものが存在する」といった言葉が持つ特性を解説。普段何気なく使用している言葉が持つ複雑さ、面白さを感じられる。

 中盤からはコミュニケーションがどのように成り立っているかを深掘り。ベストセラーとなった書籍『生協の白石さん』内の大学生協に勤務する職員と学生のやりとりを引用した箇所は興味深い。ユーモアや気遣い、傾聴が果たす役割を確認でき、さらにはコミュニケーションがいかに繊細な作業であるかも理解できる。

 終盤以降は「どうすれば好意的な印象を持ってもらえるのか?」「学生のモチベーションを保つためには?」というさまざまなシチュエーションにおけるコミュニケーション方策を追求。実践を意識した内容であるが、食い違いが起きやすいネット社会におけるコミュニケーションの詳説は現代人であれば誰でも目を通したい。堅苦しい専門書のように思われそうだが、難解な用語はほとんど出てこない。心理学をこれから学ぼうと考えている人にも薦めたくなる。

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