(鉄筆)卒業式のマスク着用……

(鉄筆)卒業式のマスク着用……
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 卒業式の時期である。これまで3年間、コロナ禍によりマスクを着けての生活を余儀なくされてきた。

 首相は2月10日、「卒業式を迎える子供たちは3年間マスクを着けて過ごしてきた。卒業式は互いの笑顔を見て参加してほしい」と述べた。異論はないが、「本当にマスクを外して大丈夫なのか」と思った方は多いだろう。首相は続けて「マスク着用を希望する子共もいると思うので、決して無理強いすることがないように」とした。

 文科省は同日、「卒業式におけるマスクの取扱いに関する基本的な考え方について」を通知。子供や教師は式全体を通してマスクを外すことを基本とするとともに、来賓や保護者はマスクを着用、座席間の距離を確保の上、参加人数の制限はしないという。これまで体育の授業などではマスクの着用を求めないと通知しても、マスクをする子供がいた。保護者からの要望もあり、学校はマスクの着用の対応に苦労してきている。〝安全・安心〟と言うが、安全が保障されなければ安心はない。

 通知は5月8日から新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けを5類感染症に位置付けることをもとに出されている。政府は専門家の議論を踏まえたとしているが、国民に「マスクをしなくても大丈夫」という科学的な根拠はない。これが不安を払拭(ふっしょく)できない原因の一つだろう。

 その矛先は学校に向かい、学校は対応に苦労する。どのようなデータに基づいて判断したのかを、国は明らかにしてもらいたい。そのことが、子供たちが互いの笑顔を見て巣立っていくことにつながる。

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