「通知表の所見を読んでも、何を言いたいのか意味が分からない」「集金の返金額が違う。計算違いではなく、式を立てることができないのだ」。これは最近、小学校の校長や教頭から聞いた、若い教員についての話だ。複数の管理職から同様の話を聞いた。
選考試験の競争率が3倍を割ると質に課題が出ると言われる。2022年度(21年度実施)公立学校教員採用選考試験で小学校の競争率は2・5倍で過去最低。「学力が高い教員」がよい教員だとは言えないが、授業の指導に必要な最低限の学力は必要である。
その責めを若手教員だけに負わせることはできない。中教審の小委員会で昨年10月、自身の出身大学の入学難易度を「難しくない」と回答した20代の小学校教員は3割と報告された。30代の倍近く、40・50代の倍以上だった。国は05年、教育学部の入学定員の抑制方針を撤廃、入試科目が少ない大学でも小学校教員免許を取得できるようにした。若手教員の学力低下はこれとも関連しているのではないか。
大学で教員養成に関わっている知人は、学生のレポートを丁寧に添削し文章力が付くようにしているという。養成・採用・研修の各段階が、それぞれ役割を果たしていくことが求められる。
「公立の小学校等の校長及び教員としての資質の向上に関する指標の策定に関する指針」が昨年8月に改正され、都道府県教委などでは教員の資質向上の指標が作成されている。実態に即した学習指導に関わる研修を計画・実施して質の向上を図るとともに、その結果を的確に評価することが必要だ。