(円卓)通常の教育活動に戻したい

(円卓)通常の教育活動に戻したい
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総合初等教育研究所参与 北 俊夫

 コロナウイルス感染者数の推移をみると、ようやく収まってきたように思われる。社会においては、マスク着用の個人判断やイベントの再開など徐々に元に戻りつつある。年度当初は、各学校が年間の教育課程を確認する重要な時期である。

 校長は本年度の学校経営の方針を早期に提示し、指導の重点事項を校内で共有することが求められる。学校によっては教職員に異動があり、従前通りの方針であっても改めて確認し合う必要がある。

 コロナ禍への対応についても、教育委員会などの意向をもとに、当面の方針を校内で協議したい。

 担任によって指導や対応が違っては子供や保護者が戸惑う。学校や教師に不信感を抱くことがないよう、協議の結果は早い時期に保護者や子供たちに伝え、混乱が生じないようにしたい。

 これまでの3年間、学校にあってもコロナウイルスの感染拡大に大きく翻弄(ほんろう)されてきた。

 集団による話し合いや共同実習・作業、演奏活動や集団行動などが制約され、給食での黙食が強いられるなど、正常な教育活動が実施できなかった。

 一方、学校の長期休業という異常な事態は1人1台端末を早期に整備させ、オンラインによる新しい授業形態を生み出した。

 コロナ禍は皮肉にもICT活用の能力や技能を高め、1人でも学べる学習環境を加速させたのだ。現在、学力の向上に一役買っている。

 ただ、学びの個別化が進行し、友達との交流や関わりが欠如した。子供たちの学びの孤立化を招いていると指摘されている。

 学力を付けることだけが学校教育の役割ではない。学校教育には他者との関わり合いを通じて、一人一人の人格を形成し、社会人として必要となる資質や能力を身に付けさせる重要な役割がある。

 子供たちは日々の授業や活動の場で、認め合い、支え合い、高め合いながら互いの学びを深めていく。学校での生活は協働的な学び合いそのものだ。

 子供たちが学校でなぜ学ぶのか。学校の役割や学校における集団生活の意義を改めて確認してはどうか。

 来年度は保護者の理解を得ながら、日々の授業はもとより、学校行事や部活動、給食や遊びなどあらゆる教育活動を徐々に通常の状況に戻していきたい。全ての学校関係者のご努力に期待したい。

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