教師は叱ってばかり、子供は叱られてばかりでストレスの悪循環が教室内にまん延している〝むずかしい学級〟。本書では、むずかしい学級の中に漂う「怒り」「叱る」を「楽しい」「笑顔」に転換する手だてを紹介する。
全体の流れとしては、学級を持つまでの、持ってからの考え方や動き方を詳細に解説。まず第1章の「『楽級経営』のマインドセット」では、ドッジボールで信頼感を育むこと、自分が何にいらいらしやすいのかを知ることなどの必要性を説く。子供だけでなく自分自身との接し方についても言及し、求められる心構えを確認できる。
第2章内の「新年度準備」は子供が忘れ物をした時の備えだったり、ランドセルを入れるロッカーの間隔を空けたりすることによって子供同士の接触を防止するなど、基本的なものから意外性のあるものまで多様なアイデアが満載。少しでも子供のストレスを減らすための工夫が登場する。授業参観や懇談会についてまとめた「保護者対応」における、わが子のスマホの使い方に悩む親への対応は必読。子供が悪ふざけのつもりで投稿した動画が大炎上するケースは珍しくない。子供が適切にスマホを使えるように導き、保護者に安心感を与える、今の時代に大切な提案がなされている。
主に若手教師向けの内容であるが、初心を振り返るだけでなく、指導方法をアップデートするきっかけになるため、中堅やベテランの教師も目を通しておきたい。