学校では普通に振る舞っていても、複雑な問題を抱えている子供は多い。そのような子供が発しているサインをキャッチして、適切な支援につなげられるための方法論を記した指南書だ。
2章に分かれており、第1章は学校では気付きにくい子供のサインを15個取り上げる。「朝、なかなか起きてこない」「お風呂に入っていない」といった多種多様なサインが並び、どういう背景が想定されるのか、精神疾患の可能性はあるのかまで深掘り。具体的な配慮や支援が説明されており、子供を正しく導く道筋も示す。各サインを出している子供への対応をまとめた事例も掲載され、明確なイメージをしっかり持ちながら、「どう支援すれば良いのか」を考えることが可能だ。
第2章では、学校と家庭が協力して子供をサポートする土壌をつくるための、保護者との接し方について解説。経済的に困窮していたり、学校からの連絡がつながりにくかったりなど、家庭環境やその言動が気になる保護者との信頼関係の築き方が見えてくる。そういった保護者を「厄介者」とはせず、考えられる背景や事情を仮定した上での支援法が載っており、子供だけでなく家庭も正しく、優しくフォローできるはずだ。
問題の発生を全て抑えることは不可能に近い。ただ、本書内のサインを知っておくことで、事態を最小限におさめることができ、子供の健全な発達をサポートできるだろう。