自然災害防止教育と学校の役割

自然災害防止教育と学校の役割
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 日本は世界有数の災害大国であり、今日明日にも今ある日常が失われるかもしれない。本書では、自然災害の基礎的な知識や技能を獲得させ、未曽有の事態が起きた際に自らの命を自分自身で守れるような子供を育てるために、学校現場でやるべきことがまとめられている。

 冒頭は日本で災害が発生しやすい理由を国土環境の視点から紹介。「防災訓練、避難訓練がマンネリ化していないか」と学校現場の意識についても言及する。序盤から危機意識を高めることができ、自然災害防止教育の必要性を再認識できるだろう。中盤以降は、兵庫県にある小学校で使用されている指導内容を示す。学年ごとにどのような指導がなされているのかが表になっているため見やすい。「教師の主な指示とそれに対する子供の予想される反応例」や「指導上の留意点」も細かく触れられており、とても実践的だ。終盤は実際に小学校で行った防災講演の内容だけではなく、東日本大震災での経験といった著者の等身大の言葉が並ぶ。体験談だからこその生きた言葉が続き、災害を自分事として捉えることができ、身が引き締まる思いになる。

 首都直下型地震が発生する可能性は決して低くなく、異常気象による台風被害や土砂災害も近年頻発しており、防災に関する知識は必要不可欠。「自然災害防止教育をやっておけば良かった」と後悔してからでは遅過ぎるため、今すぐにも手に取りたい一冊だ。

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