遠足や移動教室、運動会などの学校行事は子供たちが楽しみにしており、学校生活に張りをもたらすものである。教師にとっても子供の成長の手応えを感じたり、学年や学級の一体感を感じたりできる教育活動だ。
コロナ禍において学校は、各種の学校行事を従前通りに実施することができなかった。しかし、多くの学校では子供たちの資質・能力を育成し、充実感や達成感を味わわせられる内容や方法を工夫してきた。
5月8日に新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類に移行した。これを受けて、学校行事をコロナ禍以前の内容ややり方に戻そうとする学校も多いと思われるが、コロナ禍前から3年のブランクがあることに留意したい。ある小学校では、4月に各学年の教師がコロナ禍以前の資料を基に遠足の実地踏査を行った。その際、途中で道に迷った学年があったという。3年の間に教職員の異動があり、全員が新しいメンバーになっていたため、詳細な情報が継承されなかったのが原因のようだ。
今年度、学校行事を見直すに当たって、コロナ禍以前と同じ内容や方法にするのではなく、「なぜこの行事を行うか」を新しいメンバーを含めた全教職員で確認し、子供のどのような資質・能力を育成するのか、そのためには「どのような取り組み方がよいのか」を考えることが大切だ。
教師が主導して進めるだけでなく、子供自身がその行事の目的を捉え、取り組み方を考え実践することにより子供たちは成長する。前例踏襲ではなく、新しい学校行事に変えるチャンスとしたい。