(円卓)今春、教職に就かれた皆さんへ

(円卓)今春、教職に就かれた皆さんへ
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元国立音楽大学教授 榎本智司

 連休も終わり、新年度が本格的にスタートすることとなった。

 今年度、初めて教職に就かれた皆さんはどのような思いで、この時期を迎えているだろうか。わずか1カ月余りの間にも、さまざまな体験をし、思いを巡らせてきたのではないかと思う。

 それらをどのように整理し、消化しているだろうか。もちろん、課題の解決には、管理職や先輩の教員の方々の力をお借りするのも一つの方法である。

 筆者は、教員になる前日から40年以上、日記を付けることを継続している。着任する学校に3月31日に訪問した際の生徒との出会いがきっかけである。

 その生徒としばらく言葉を交わした。帰宅途中の電車で、私は彼とのやりとりを反すうし、これは自分の教師としての原点になる、と考えた。

 きちんと記録しておきたいと思い、帰宅途中に記録用のノートを購入し、自宅で彼とのやりとり、その時の自分の思いなどをつづった。

 それ以来、100枚のノートを学期に1冊ずつ、1日に見開き2ページを使い、授業のこと、生徒とのやりとり、事件や事故の対応、さまざまなメモ、そしてその日の対応を通して感じたこと、考えたこと、その後の展望などについて記録した。

 また、重要な文書、子供や保護者からの手紙などもその日のページに貼り込むようにした。

 ある事故について、数年後に問い合わせがあり、このノートにしっかりと記録が残されていたために問題が解決したこともある。

 慣れてくると、書くことでいろいろ見えてくるようになる。また、見ることで書けるようにもなってきた。そして、その日の悩みや疑問も文書にすることで、自分なりに納得し理解し、次につないでいけるようになってきたのである。

 教職に就いて何年もたってから、新たにこのような習慣を身に付けるのは厳しいかもしれない。しかし、教員生活を始めたばかりの皆さんは、自分の教員生活の一部にしてしまえば、意外と簡単に習慣化できるのではないかと思う。

 自己を振り返り、気持ちを整理し、課題を解決し、自分自身を成長させるため、自らを守るためにも、毎日、日記を付けることをお勧めする。

 今後、大きな変化が予測されている時代だけに役に立つと思われる。

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