教育活動の充実のためにPTAに行事の手伝いをしてもらっている学校は多いと思う。この春の卒業式や入学式でも来賓控室でお茶の接待をしていたのはPTAだったのではないか。教職員も保護者も、PTAと学校は一体だと捉えている人が多いのではないか。
昨年度、ある校長はPTAの会計担当の役員から会費の集金や管理など会計事務が忙しく処理が難しいため学校の事務職員にそれを肩代わりしてほしいと要望された。学校とPTAとは別の組織でありPTAの会計を学校が行うことはできないと答えたが、なかなか理解を得ることができず苦労したらしい。
別の校長の話では、PTA会員の名簿作成のため学校の児童生徒名簿を貸してほしいという要望があったという。PTAと学校は別の組織で個人情報の目的外使用に当たるために貸せないと断ったところ、不親切だと言われた。
PTAは社会教育法第10条に示される社会教育関係団体であり、学校とは別の組織だ。これを教職員にも保護者にも十分に理解されるようにすることが、このような課題を解決するための大前提である。
ある教委が管下の学校に向け、保護者のPTAへの加入退会は自由である旨の注意事項を通知した、という報道があった。別組織であるPTAに関することを教委が学校に通知するのは、「国及び地方公共団体は、社会教育関係団体に対しいかなる方法によっても不当に統制的支配を及ぼし、又はその事業に干渉を加えてはならない」という社会教育法第12条に抵触する行為を学校に行わせる危険性がある。