持続可能な開発のための17の国際目標「SDGs」の認知は広まったが、正確な概要を知らない人は多い。本書は、元外交官がSDGsを徹底解説した辞典である。
序盤はSDGsの17の目標および169のターゲットを掲載。目標自体は聞いたことがあっても、ターゲットまで把握している人は少ない。ターゲットを知ることで、その目標がなぜ必要なのか、今世界では何が問題視されているのか、社会問題への関心が高まるだろう。中盤からはターゲットの本文中に出てきた「化石燃料」「奴隷制」「法的な身分証明と出生登録」といった用語が辞典形式で並ぶ。ターゲットを読み解くためにはさまざまな専門知識が必要になるが、そのことがターゲットの認識不足の一因と言える。目標それ自体を掘り下げた解説書はよく見るが、その一方でSDGsに関連する用語まで学べるものはあまりない。SDGsだけではなく、現代人が覚えておきたい一般教養も身に付けられる。
とはいえ、本書で特筆すべきは、「SDGsについて世界の人たちと話すきっかけを作ること」を意図して、17の目標や169のターゲットなどが英語でも紹介されていることだ。終盤の「これからSDGsを学ぶ皆さんへ5つの提言」でも和文と英文が載っており、社会問題はもちろん英文読解も同時に学習できる。SDGsは今や常識となっており、子供の勉強用としてだけではなく一冊は家に置いておきたい。