第12期中教審が3月に発足し動き出している。新会長に荒瀬克己氏(独立行政法人教職員支援機構理事長)が選任された。元京都市立堀川高校校長で教員出身の会長は初めてだ。委員には全国連合小学校長会、全日本中学校長会、全国高等学校長協会の3会長がそろった。初中教育の改革を想定し、次期学習指導要領改訂を視野に入れてのことであろう。
子供の学びの在り方、これを担う教師の役割や能力についてはすでに答申が出されている。主体的な学びの可能性を最大限に引き出す役割や、これを実現する伴走者としての能力だ。実現するための教師の資質・能力育成の指標やガイドラインも示され、すでに実施に入っている。
問題は教育の内容である。現行の学習指導要領改訂の際に、学校現場からは主体的な学びの実現にはそれなりの時間を保障するため、各教科の内容を削減する必要があるとの声が出された。文科省はかつての苦い経験から二の足を踏んだ。
しわ寄せは学校・教師にのしかかり、コロナ禍も影響して、子供の主体的学びへのチャレンジは滞ってしまった。教師主体で子供に考えさせる一斉授業なら何とかこなせるが、子供主体の学びはじっくり取り組む時間が必要だ。内容を減らさなければ無理がある。
内容削減は総論賛成でも各論反対の声が大きい。今回、委員になった3校種の会長は、学習指導要領の在り方をはじめとして、少なくとも内容の重点化や削減をしっかりと求めるべきだろう。現場の声をよく聴き、集約して審議会に伝えることが責務であろう。