東京都中央区銀座の高級腕時計店へ強盗が押し入った事件で、犯人がいずれも10代の少年だったことは世間に大きな衝撃を与えた。当初、実行犯の少年たちに指示を与えた別の人間がいるのではないかとみられていたが、現時点では少年たちの単独犯行であることが分かってきた。
そのような警察の推理の背景には最近増えている少年たちをターゲットにした「闇バイト」の存在がある。ここ数年、少年犯罪全体の検挙・補導人数は減少しているが、特殊詐欺に関しては増加の傾向にある。警察庁によれば、2022年の特殊詐欺に関わって逮捕された20歳未満の少年は477人で、前年と比べ10・7%増である。うち中高生が3割超を占める。
少年たちはSNSの闇バイトの掲示がきっかけで実行役として雇われている模様だ。中には自分の学校の後輩を誘って、広がっていくケースもあるという。最近は特殊詐欺に対する警察の対応が迅速化していることもあり、闇バイトが強盗などの凶悪犯罪に移行しつつあると警察庁は指摘する。
なぜリスクの大きい闇バイトに手を出すのだろうか。借金など追いつめられた状態になったときSNSに高額バイトの募集が多く出ていればつい連絡してしまうという人間心理が根底にあると識者は語る。犯罪に関係していると思ってもやむにやまれぬ状況があれば思考停止状態となり、バイトに応募してしまう。
少年とはいえ強盗は重罪である。普段から大人が罪状に対する量刑の知識を教えることが大切だ。気になるのが少年たちの悩みを聞く大人の存在の少なさである。