2025年度までで「教科担任制」の加配措置が終わります。4年間で3800人が見込まれているが、小学校1万9000校余りある学校の約5分の1程度の措置であり、実質的な人的配置がないということで「教科担任制」のメリットを実感できない学校が少なくありません。
私はこれまで大規模校、中規模校、小規模校、それぞれで小学校高学年の教科担任制の導入の支援に取り組んできました。加配措置のない学校での導入、小・中学校の強固な連携、学校規模ごとの在り方の工夫などに取り組み、教科担任制をいかに導入していくのか、その指導に尽力してきました。
それらの学校では、主に次のような成果が報告されています。
(1)教師の指導力が向上して学力アップにつながっている。
(2)多面的な児童理解によって、学年力の高まりが実感でき、生徒指導上の課題に対しても速やかな対応が可能となった。これにより保護者の信頼度も高まってきた。
(3)中1ギャップに対しては、卒業生の中学校での不適応度がほとんどなくなった。
(4)働き方改革としては、授業準備と教材研究の効率的な取り組みによって時間短縮まで行き着いている傾向も出ている。
(5)教師のタイムマネジメント力が身に付いてきた。
教科担任制に対する児童の感想も紹介しましょう。「いろいろな教え方の先生に出会えて楽しい」「相談できる先生が増えて、不安なく学校生活が送れるようになりました」「名前を呼んでもらう機会が増えて、やる気が出ます」などの声が聞こえてきています。
学級・学校満足度が「教科担任制」を実施していない学校より高い状況も成果として言えましょう。児童一人一人がさまざまなストレスを抱えることなく学校生活を送っている様子がうかがえ、学級が児童の居場所として機能していることが分かります。
教科担任制を実施している学校では、教師自身が指導力や授業力向上を実感しています。それにより意欲的な学年経営となり、学校力の高まりに大きく貢献していると言えます。
ぜひ、1校でも多くの学校がこれらの成果を実感できるレベルまで実践を引き上げて、「児童のための教科担任制」を構築していってもらいたいと願っています。