(鉄筆)若手教師の悩み……

(鉄筆)若手教師の悩み……
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 (一財)教育調査研究所は6月に研究紀要第102号『若手教師の悩みに応える』を発行した。若手教師がどのような悩みを抱え、どのように解決しているのかなどを調査し、よい教師になる方策を見いだそうと企画された。

 同紀要を読んで注目したのは「悩みを相談する人が分からない」若手教師と「教職に意欲や使命感が持てない」若手教師についての校種別、経験年数別の割合だ。どちらも中学校は経験年数2・3年まで増加し、その後減少しているのに対して、小学校では右肩上がりで増加し続けている。中学校では1年目は副担任で2年目以降に学級担任になり、また1年から3年まで同じメンバーで指導する学年団となるため人間関係が安定し相談できる環境になっていると推測できる。

 本紙「オピニオン」で喜名朝博国士舘大学教授が指摘したが、小学校では採用後すぐに学級担任となるため、できるだけ早い段階で若手教師に自分自身の状況に気付かせ、援助要請行動を取れるようにすることが大切だ。

 「教職に意欲や使命感が持てない」若手教諭に関しては、昨年10月の中教審小委で報告されたように、2005年の規制緩和により小学校教諭一種免許を取得できる大学が増加したことと教員採用試験の倍率低下という、「養成前選抜の易化」と「採用時選抜の易化」が重なり、小学校の若手教師の質が変化したと考えられる。

 若手教師の悩みを解消するために、教委や学校管理職は一人一人の若手教諭の状況を把握し、教諭として求められる資質・能力を育成していくことが求められる。

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