(鉄筆)教員の過労死……

(鉄筆)教員の過労死……
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 2016年に富山県滑川市の中学校教員が過労死し遺族が市と県に損害賠償を求めた訴訟の判決が先日行われ、市と県に8300万円の支払いが命じられた。少なくとも滑川市は控訴しない方針を固めている。

 判決で注目された、争点となった部活動が教員の勤務の一環かどうかという問題に裁判所がYESと判断したことだ。それにより関係教員の死亡原因が過労死であることや監督義務のある校長の責任が明確になった。

 判決後の記者会見で担当弁護士が指摘したことは重要だ。給特法があってもなくても部活動に関して管理職には安全配慮義務があるということ、国で議論している教員の働き方改革に対して大幅な教員増など教育を持続可能にするための抜本的な対策が必要だということの2点である。正論であろう。

 今回の裁判で県や市が主張した「部活動は教員本来の勤務ではない」はかつての「日の丸・君が代は国旗・国歌ではない」レベルのむなしさを感じる。国旗・国歌問題でも99年に広島県の高校で校長が卒業式前日に自殺する事件が起き、それをきっかけとして国が国旗・国歌法の法制化に動いたことがあった。

 先の弁護士が述べたように、今回の判決は現在中教審や自民党内で協議されている給特法の改正や教員定数の増員など国レベルでの早急な対策を後押しするよい契機となったのではないか。教員の死を無駄にしないためにも、さらに人が死ななければ物事が動かないこの風潮を終わりにするためにも、文科省はじめ関係者は今回の判決を重く受け止めてもらいたい。

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