文科省が公立学校の教員採用選考について、来年度からこれまでに比べて約1カ月早い6月16日を目安に実施するよう各教育委員会に要請した。民間企業に学生が流れるのを食い止めるためという。
ただ、今求められているのは、「採用選考の早期化」なのだろうか。2022年12月の「『令和の日本型学校教育』を担う教師の養成・採用・研修等の在り方について(答申)」では、「志願者の視点に立って、養成と採用との一体的な改革を進めていくことが必要」と指摘している。また、「早い段階から『学校体験活動』を経験し、教育実習の答申=代替する方法なども想定されている」とある。
一般企業ではインターンシップ制度を導入しているところが多くなってきている。教職課程の早い段階から継続的に学校体験や実習を行うことで、教師を目指すのか、断念するのか、早期に意思を固めることが可能になる。
教師になって「こんなはずではなかった」と失望したり、早期退職したりする者も少なくなるはずである。3年生までの継続的な学校での体験や実習の評価が優秀な人は教員採用選考の1次選考を免除し、4年次に2次選考から受験が可能な制度を設けてはと思う。
教職課程の早い段階から、教師の優れた人柄や実践に触れ、児童生徒と触れ合う機会が学校や教師の理解につながる。その経験を通して、自分の適性を見極め、教師になるという強い意志をもって教員採用選考に臨む人が増えるはずである。教員養成段階からの抜本的な教員採用選考の改革を期待したい。