間もなく、夏休みが終わり新学期が始まろうとしている。現職時代、1年間で最も解放感に浸れるのは1学期の終業式の日だった。逆に、最も憂鬱(ゆううつ)な気持ちになるのが2学期の始業式前の数日間だった。毎年、この繰り返しだった。
文科省が7月10日に公表した「児童生徒の自殺予防に係る取組について(通知)」に、「18歳以下の自殺は、学校の長期休業明けにかけて増加する傾向」があると記されている。
教師であっても冒頭で述べたような状態にある者もいることを考えると、最も長い長期休業後の2学期を迎える前後のこの時期、学校に不適応を起こしていたり、さまざまな不安や悩みを抱えていたり、大きなプレッシャーを感じていたりする児童生徒も少なくないはずである。
だからこそ、この時期、さまざま課題を抱える児童生徒の確実な把握と、ケアが不可欠である。特に気になる児童生徒に対しては、家庭訪問をして本人と直接顔を合わせたり、電話で話をしたり、保護者と連絡を取って状況を把握したりする必要がある。前述の通知にもあるように、今では1人1台端末の活用によってアンケートで児童生徒の状況を把握したり、個別に教育相談を行ったりすることも可能である。
あらゆる手段を駆使し、全ての児童生徒のSOSを早期に把握し、教師間の情報共有とスクールカウンセラー、保護者らとの連携による丁寧な対応が求められる。新学期前の、そして学期始めの丁寧な対応によって、全ての児童生徒の命の危機を防ぎ、心の安定を図ってほしい。