学力を上げるには、基礎的基本的な知識や技能、思考力や表現力などの「学んだ力」としての学力と、学習習慣や学習方法といった「学ぶ力」としての学力、両面の育成を目指す必要がある。さらに「学ぶ力」を育てるには、授業以外の場で一人で学習する時間を持つよう促すことが大事となる。その習慣付けのために学校現場でよく行われているのが、「宿題」を課すことだ。一方で、まだ習っていないことを前もって学習する「予習」を促すことはあまり積極的に行われていない。本書はその「予習」に着目し、実証的な知見に基づいて効果的な予習方法、予習指導の在り方を提唱する。
構成は、▽なぜ予習に注目するのか▽予習の効果と背景要因▽予習から深い理解へ▽授業の影響力▽予習を取り入れた授業設計▽効果的な予習指導のポイント―本書のまとめ――の6章。
本来、学校での日々の授業と家庭学習指導は連動させて考えるべきであり、学習内容が多様化、複雑化していく中学校以降は、予習―授業―復習の流れの中で、自分の理解状況をチェックしながら理解を深めていくのが理想的だ。予習段階で「大まかな知識を得ておく」「問いを立てておく」「自分なりに考えを用意しておく」などで、授業の中で「なぜ」まで考えられるようになり、結果として深い理解へとつながっていく。
「予習」が果たす役割について改めて考え直し、効果的な「予習」指導へとつなげてもらいたい。