(鉄筆)全国学力・学習状況調査の結果……

(鉄筆)全国学力・学習状況調査の結果……
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 7月の終わりに今年度の全国学力・学習状況調査の結果が発表された。各小・中学校では調査結果を分析して授業改善プランを作成していることと思う。

 おそらく多くの学校では「正答率」が低かった問題に焦点を当て、子供の理解を確かなものにするための授業の在り方を検討しただろう。それは大切なことだが、正答率だけでなく、一人一人の教科の解答状況や質問紙の回答状況も合わせて検討する必要がある。

 今回、社会経済的背景(SES)の指標として用いるために、子供に家にある本の冊数を尋ねている。結果から文科省は、SESが低い子供ほど各教科の正答率が低い傾向にあるが、「主体的・対話的で深い学び」に取り組んだ子供は、SESが低くても各教科の正答率が高い傾向が見られたとしている。一部の教育学の研究者は、設問にあいまいさがあるため学び方と正答率との間に相関関係があるとは言い切れないことや、相関関係があったとしても他の要因の影響も考えられ、学び方が直接的に正答率に影響したという因果関係があるとは断定できないことを指摘する。

 学校は家庭環境の厳しい子供にも学力を保障することが求められる。「SES」「正答率」「学び方」の3つの要素の中で、学校が直接、関与できるのは「学び方」である。

 「子供」としてひとくくりに授業の改善を考えるのではなく、一人一人の子供に焦点を当て、授業の改善の在り方を考えていくことが必要ではないか。「子供の数だけ授業改善プランがある」というのが、今、学校に求められる姿ではないだろうか。

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