(円卓)気候変動を「じぶんごと」に

(円卓)気候変動を「じぶんごと」に
【協賛企画】
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全国小中学校環境教育研究会顧問 棚橋 乾

 この夏は東京でも35度を超える猛暑日が続き、これまでにない気象の様相を見せていた。世界でも極端な旱魃(かんばつ)と豪雨の地域に分かれ、森林火災や水害などの災害が頻発している。これは数年前に専門家から聞いていた、これまで大量の二酸化炭素を吸収していた海の変化が始まったのではないかと心配になる。気象予報士の「50年に一度の○○」という表現も最近は聞かれない。今後は毎年のように同じか、さらに酷(ひど)い状況になるのでは、と心配する方も多いのではないだろうか。

 一方で、国際機関の世界市民会議によると、日本国民の60%は気候変動対策が生活の質を脅かすものであると考えていると報告されている。これは世界平均27%からすると調査対象国の中で突出した数値だった。さらに、若い世代に環境問題に起因する「エコ不安(エコグリーフ)」が広がっているとの報道もあった。温暖化などのネガティブな環境情報があふれ不安になることは当然だが、正しく温暖化を知り、適応策や緩和策を学ぶ、実践することがなければ自分ごととして課題と正対することはできない。ここに教育の役割がある。希望を見いだすには、適切な学びと経験が必要である。持続可能な開発のための教育「ESD」として、温暖化に関わる気候変動教育「CCE」の必要性は、これまでになく高まっていると考える。

 自分たちの将来がかかっている若い世代は敏感だ。教育関係者の皆さん、この危機に正対した指導を行うのか、傍観するのか、あなたはどちらだろうか。

 さて、私たちは、さまざまな製品、食料やエネルギーの中で生活している。どれも消費する前に、生産や製造、輸送などで二酸化炭素を排出している。この二酸化炭素排出量全体をカーボンフットプリントと呼び、計算によって数値を導き出すことができる。

 昨年、国立環境研究所が、アンケートに答えることで誰でも自分の排出量を知ることができるシステム「じぶんごとプラネット」(ウェブアプリ)を作ってくれた。

 それに関連するQRコードを学校だよりに載せて、保護者や地域に呼び掛けてくれた学校もある。

 まずは「じぶんごとプラネット」を活用して、日常生活から、気候変動問題を自分ごとにしてみてはいかがだろうか。

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