今年の夏は暑かった。「地球沸騰の時代」だと言われる。コロナ禍で客足が遠のいていた海の家が、今年は復活できると思ったが暑過ぎるため客の入りが悪かったという。
「夏休み中の水泳指導も、暑過ぎるため実施できない日が多かった」とある小学校長から聞いた。暑過ぎてプールサイドを歩けないだけでなく、水温が30度近くになり熱中症になる可能性が高いという。
スポーツ庁は4月、「令和3(2021)年度体育・スポーツ施設現況調査」の結果を発表した。18年度に比べ小中学校のプールの数が減り、1校当たりのプールの数は小学校では0.94から0.87に、中学校では0.73から0.65になっている。民間施設を利用する方が費用を低く抑えられるため、設置しない方針の自治体もあるという。民間施設利用により、浄水や施設設備の維持管理を教員が行う必要がない、屋内プールが多く授業が天候に左右されない、インストラクターに指導を委託できるなどのメリットがある。
裏を返せばこのことは、多くの学校の課題でもある。学校・教師が担う業務の明確化・適正化が、19年1月の学校における働き方改革に関する中教審答申に示されている。真に学校や教員が担わなければならないのか、学校や教員が担うべきならば、どのような負担軽減の方策が取れるのかを学校と行政が一体となっての見直しが求められる。
今後、学校のプールで水泳の指導を行う場合は、これまで7~9月に行われていた指導の時期についても、「地球沸騰の時代」を考慮して見直すことが必要であろう。