Nordic Educations代表、教育コンサルタント
フィンランド・ヘルシンキでの1年間にわたる勤務を終えた1月。私は、港の美しい街・ポーランドのグダンスクにいた。幼稚園での実践研修で、幼児教育について学ぶためだ。グダンスクを訪れたのはこの時が初めてではなかった。フィンランド滞在中だった昨年9月に、STEAM教育についてのティーチャートレーニングを受けるために、この街を訪れたことがあった。
2023年1月から1年間、ヘルシンキ国際高校でアシスタントティーチャーとして働いた。フィンランドの学校の中の人間となったことで、得られた学びはたくさんあり、日本に持ち帰りたいものもいくつか見つかった。最も持ち帰りたいと思ったものは、教員同士の関係性、そして、支え合い学び合える「同僚性」の大切さである。
本校には彼女に限ったことではなく、素晴らしい先生が他にもたくさんいる。それぞれの先生が自己に与えられた裁量権の下、工夫を凝らした授業を行っている。ただそうした中であっても、彼女は群を抜いて「特別」だと感じる。その魅力は「プロフェッショナル」という言葉で表現するのが適切だろう。教科の専門性には、確固たる自信を持っていることが伺える。
子どもたちの心を魅了する仕掛けに衝撃 ラウラ先生には初めて会ったときから、その立ち振る舞いや表情から、教師としてただならぬ魅力を感じていた。フィンランドは日本と違い、6月に年度末を迎え、8月から新年度が始まる。2023年も2カ月にも及ぶ長い夏休みを終え、8月8日に新年度がスタートした。
フィンランド語を学び始めて4カ月がたった頃、少しずつではあるがフィンランド語を用いてコミュニケーションをとれるようになってきた。そんなある日、同僚が私に話し掛けてきた。特別支援教育担当のレア‐マリア・シレン(Rea-Maria Siren)先生である。「ヒロキは、日本で理科の先生だったよね? この生物の教科書は私が作ったものなのだけど、よかったらプレゼントするね」と。
私が勤めるヘルシンキ国際高校はこの夏休みに、学校の歴史における大きな転換点を迎えた。新校舎への移転だ。6年前に新校舎移転計画がスタートして、待ちに待った瞬間が訪れた。今回は、夏休みに行われた引っ越し作業について、また私自身がいち早く見た、開校準備中の学校内部についてお話ししたい。
長い冬が終わり、フィンランドにも待ちに待った春がやってきた。人々は、待ちわびた太陽の日差しを体中で感じるかのように、ピクニックへ出掛けたり、森に散歩に出掛けたりする。そんなすがすがしい5月を、私は別の理由で心待ちにしていた。
私は大阪府の公立中学校で教員人生をスタートさせ、8年間、学校現場でお世話になった。その後退職し、現在はヘルシンキ国際高校(Helsingin kielilukio)で勤務している。2019年夏に1週間のフィンランド教育視察に参加し、そのときに自分の教育観に大きな転換が起こった。
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