【話し合いの場づくり(9)】生徒の感想を確認しながら進める

株式会社博報堂H-CAMP企画推進リーダー 大木 浩士
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「先生が、生徒の気持ちを無視しながら授業を進める」このことに、多くの生徒が不満を感じています。

最大の要因は、授業が一方通行だからでしょう。授業は先生の独演会。生徒は先生の話を聞き、板書の文字をノートに書き写すだけ。

教科書の内容を教えるだけなら、そのやり方でもなんとかなっていました。しかし、授業に話し合いの要素が加わり、双方向型になってくると、そうはいきません。

 

生徒の感想を確認しましょう。そして、授業にPDCAの仕組みを導入しましょう。P(計画)とD(実行)だけでなく、C(チェック)とA(改善のアクション)まで行うことが、これからは求められます。

話し合いの場づくりに、完全なマニュアルをつくることは不可能です。なぜなら、相手の状況に合わせて、進め方の修正が随時求められるからです。

3年生に通用した進め方でも、1年生には通用しません。同じ学年でも、クラスの個性に応じて、対応を変えることも必要です。

 

話し合いの場づくりは、「試合」のようなものです。生徒という相手がいて、相互のやり取りの中で状況が変化し、結果が表れる。

試合で良い結果を残すには、相手をしっかり知ることです。そして、自分の中に課題を見つけ、改善に着手することです。

くどいようですが、繰り返します。課題は、相手の中に見つけるのではありません。自分の中に見つけるのです。

課題を相手の中に見つけ、相手を威圧し、変わるように指示をする。これでは、生徒の主体性は絶対に育まれません。本当の試合でそれをすれば、反則負けです。

 

私が行う授業では、最後に必ず「振り返りの時間」を持ちます。

まずは3分くらいの時間で、生徒が授業を振り返り、気付いたことや感想を紙に書き出していく。時間に余裕がある場合、何人かの生徒に全体発表をしてもらいます。

その後、紙を回収するかコピーをし、書かれた内容に目を通す。生徒たちの声を真摯に受け止め、私自身が振り返りの時間を持ちます。

 

私はこれまで、約600校・7000人以上の生徒たちに対話型の授業を行ってきました。正直に申し上げますが、何度も何度も失敗をしてきました。

失敗を経験し、改善の試行錯誤を繰り返し、その結果、自分の中に授業の進め方のバリエーションが育まれていきました。状況に応じて対応するための、技術の引き出しが増えていったのです。

失敗は恥ずかしいことではありません。失敗を恐れ、独りよがりの姿勢を貫くことこそが、恥ずかしいものだと私は思います。

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