高校生が「防災の日特番」を動画配信 企画制作手掛ける

教員は種をまき、環境を整える。成長して動き出すのは生徒自身――。東京都八王子市にある工学院大学附属高校(平方邦行校長、生徒1108人)は9月1日、脚本・撮影・編集の全てを生徒が手掛けた「防災の日特別番組」を動画配信した。動画制作の発案も生徒で、教員は生徒の相談に応じて教室の確保や機材の貸し出し、外部との連絡などを担っただけだったという。

グリーンバックで動画を撮影。背景は3Dモデリングを得意とする生徒が合成する

同番組は「防災の日」である9月1日に合わせ、生徒が今年8月、宮城県気仙沼市、石巻市、女川町、岩手県釜石市など東日本大震災の被災地で取材した内容をまとめたドキュメンタリーや、東京都が発行している冊子「東京防災」を基にした防災グッズの作成方法などで構成。子供に防災への関心を持たせようとかぶりものをした生徒が地震のメカニズムなどを説明する「ベリー博士のコーナー」も盛り込まれている。

動画制作を発案したのは同校2年生の齋木宏共さん。同学附属中学校在学中に研修旅行の一環で東日本大震災の被災地を初めて訪問した際に、同校教員の「被災地について知ってほしい」という意思を強く感じ、「災害を風化させないために、自分にできることをしなければ」と考えて、他の生徒に相談したという。

動画制作を選んだ理由について、生徒の1人は「中学1年生からタブレットが1人に1台ずつ貸し出され、動画による自己紹介などをしており、動画で自分の考えを伝えることの効果を実感していたから」と語る。また、別の生徒は「学校ではどの授業でも、先生の話を聞くだけではなく、他の人に発信するプレゼンテーションが重視されている。そのため表現力や構成力が身に付いた」と話す。

小学生を対象とした防災の授業に向けて作成したスライド

9月2日には八王子市立小学校の全校朝会を訪問し、制作した動画やスライドを活用し児童に防災意識を持つことの大切さを伝えた。その後は1、2年生を対象に授業を実施して、「新聞紙を使ったスリッパ作り」など災害時に役立つ工作を実演した。

彼らの活動を支えるのは同校で司書教諭を務める有山裕美子教諭。「学校ではICT活用の推進や主体的に考え行動する生徒の育成に力を入れているが、教員は種をまき、環境を整えるのみ。成長して動き出すのは生徒自身だ」と強調する。

「生徒から『動画を作りたい』と相談されたときは1カ月も持たないと思っていたが、制作開始から8カ月近くになり、めきめきプレゼンテーションの力を付けている。10月には八王子市主催の総合防災訓練で発表を予定しており、活動の幅も広がってきた」と語る。

彼らはユーチューブ上でチャンネル『ちーむべりぃぐっと!』を運営中。「防災の日特別番組」の一般公開はすでに終了しているが、以下のURLで、9月7日まで限定公開されている。

べりぃぐっと!チャンネル 第22回放送 防災の日特別番組
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