「学びの保障を」 休校続出で文科相が異例のアピール

政府の緊急事態宣言が出された7都府県以外で、新学期以降も臨時休校を続けたり、いったん再開したものの再び臨時休校を決めたりする自治体が相次いでいる状況を受け、萩生田光一文科相は4月10日、閣議後会見の冒頭、「学校で教職員や友人と一緒に学ぶ経験は、子供たちの成長にとってかけがえないものであり、学校は大きな社会的役割を果たしている」と強調した上で、「臨時休校の判断は、感染リスクを分析把握した上で、学習の遅れや給食の取り扱いなどさまざまな影響も考慮し、慎重にしてほしい」と述べ、全国の自治体に対し、子供たちの学びの保障に配慮するよう求める、異例のアピールを行った。

「学校の社会的役割は大きい」と記者会見で話す萩生田光一文科相

萩生田文科相はまず、「緊急事態宣言の対象となっている都府県以外にも、新たに学校を臨時休校する自治体が急増している」と憂慮を表明。続けて「臨時休校は、専門家会議の提言によれば、感染拡大警戒地域における一つの選択肢であり、子供や教職員の生活圏ごとのまん延状況を踏まえて判断することが重要と示されている」と判断基準を説明。「各学校設置者は、自身の地域が感染拡大警戒地域に当たるのか、臨時休校の必要性があるのか、衛生主管部局に十分相談してほしい」と要請した。

また、保護者や児童生徒に不安が広がっている状況については、「新型コロナウイルス感染症は、現時点でいまだ解明されていない点も多く、保護者や児童生徒が登校に強い不安を持つ場合もあると思う。このような場合、まずは学校で講じる感染症対策について十分説明し、学校の運営方針について理解を得られるよう努めていただきたい」と述べ、保護者らに学校再開への理解を求める努力をするよう、自治体の教育関係者に促した。

文科省が6日時点で取りまとめた、学校の新学期開始状況の調査によると、7日に緊急事態宣言が出された埼玉、千葉、東京、神奈川、大阪、兵庫、福岡の7都府県以外でも、群馬、福井、京都、熊本などの府県が休校継続を決定。その後も、茨城、静岡、滋賀などがゴールデンウイークまでの休校継続を決めた。新学期に合わせていったん学校を再開したものの、再び休校に転じた自治体もある。

こうした現状を踏まえ、記者団との質疑の中で、萩生田文科相は「新型コロナウイルス感染症は未知のウイルスであり、それに対応できるワクチンや科学的な知見がまだ整備されていない。絶対的に何が正しくて、どっちが間違っているか、文科省としても判断できないところがある」と、不確実な現状に対する認識を率直に表明。

続けて、新型コロナウイルス感染症への対策で蓄積された知見について、「この間、子供同士の『ヒト-ヒト感染』がないことは、ひとつのエビデンスとして受け止めている。10歳代の感染者が増えていることも事実だが、それは家庭内感染が多い。結果として学校はクラスター化していないことも、短い期間ではあるけれども、ひとつのエビデンスとして確認している」と説明。

「専門家会議の判断では、3つの密( 密閉、密集、密接)を避ければ、学校を大事にやっていくことは、決して間違っていないという評価を受けている」と述べ、科学的な判断を背景に、学校再開には合理性があるとの考えを改めて示した。

さらに「自治体によって環境がずいぶん異なると思う。いま世の中に出ているのは、都道府県の感染者の数だが、これを細分化して基礎自治体の市町村に分けていくと、ゼロという自治体も数多くある。緊急事態宣言が出た自治体は大きめに心配しておかなければならない。けれども、そうではない自治体では、用心した上で、学びの機会は確保していただきたい。これが私の基本的な考えだ」と、学校再開に理解を求めた。

会見の最後に、萩生田文科相は高校生らがSNS上などで休校継続を求める動きが広がっていることに触れ、「小中学生はほぼ徒歩圏で学校に往復しているので、電車やバスで通学する高校生とはリスクが違うと思う。自治体ごとにきめ細かく対応してもらい、社会総ぐるみで学びの保障に取り組んでいきたい」と話した。

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