【コロナと学校】入試は延期か複数回かなど 議員ら討論

【コロナと学校】入試は延期か複数回かなど 議員ら討論
討論する有志の議員と有識者ら
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「学びの保障と9月入学を考える院内集会」(日本若者協議会主催)が6月2日、参議院議員会館で開かれた。与野党の国会議員5人と有識者5人が登壇し、今年度の学びの保障をどう行うか意見交換した。

同日は政府が9月入学の直近の見送りを表明した直後のタイミング。かねてから拙速な9月入学に異を唱えてきた日本大学の末冨芳教授は「9月入学の検討に文科省のリソースが割かれた結果、入試の方針への対応がかなり遅れている。4月から指摘をしているが、今までほとんど進んでいない」と懸念を示した。

それに対し、自民党の秋季入学制度検討ワーキングチーム座長の柴山昌彦衆院議員(前文科相)は「まともに勉強ができない中で、受験が刻々と迫ってくる不安は筆舌に尽くしがたい。大人たちが、しっかりとした対応策を示すことが極めて重要。私たち(自民党)は学期や試験の2週間~1カ月程度の先送りを提案している」と応じた。

また、国民民主党の9月入学検討ワーキングチーム事務局長の伊藤孝恵参院議員は「ダブルチャンス受験」を提案。自民党案に加えて、「大学入試の2次試験を春と夏に2回行うことで、4月入学と9月入学の両方の入学機会を用意し、選択肢の幅を広げる」とした。さらに、必要な財政措置をとって、中止された学校行事やスポーツ行事を行う機会を確保することも提案した。

現場からの声として、熊本市の遠藤洋路教育長がオンラインで登壇。休校中の学びの遅れについて触れ、「休校中の学びの状況は地域、学校、個人によって差がある。全員が一律で2~3カ月遅れたということではなく、休校中も勉強できた子とそうでない子の差が非常に開いていることが問題」と指摘した。

その上で、「全員一律に授業時数を回復するというだけでは、この差は埋まらない。基礎・基本の定着については個別の対応を行う必要がある。また、協働的な学びや学校全体でやる活動については、学校再開後に重点的に取り組むべきではないか」と述べた。

これに対し柴山議員は「特に小中学校を中心に『教育は対面でするもの』という風潮があるが、今回のコロナ危機をきっかけに、オンライン学習と対面学習の役割分担をより精緻化して、学びの質をレベルアップさせるきっかけにしてほしい」と発言。

また、小学校教員として19年の勤務経験がある立憲民主党の勝部賢志参院議員は「教科の知識や理解は大事だが、人と人との関わり合いを通じて自分を高めていくこと、教員がいかにその手助けをできるかという点も学校現場では重要」と指摘。「先生方には今、子供たちが何に悩んでいるのかに気を付けて接してほしい」と結んだ。

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