個別選抜の作問で負担 大学の深刻な人員不足など指摘

文科省の「大学入試のあり方に関する検討会議」は10月16日、第15回会合をオンラインで開催し、大阪大学高等教育・入試研究開発センター長の川嶋太津夫特任教授がまとめた資料を基に、大学入試の課題や問題点を改めて整理した。

委員らと意見を交わす萩生田文科相

また、大学独自の個別選抜の問題作成が、各大学の負担になっているという指摘が出され、会合に参加した萩生田光一文科相は「それぞれの大学の各学部・学科のチームで設問を作るのが大学教員にとって本当に負担なのか、考えてほしい」と熟慮を求めた。委員からは「大学の現状は、社会が予想しているよりも、大きな危機に直面している」と、深刻な人員不足の現状について意見が相次いだ。

川嶋特任教授が示した資料では、これまでの議論のポイントを▽大学入試に求められる原則▽大学入試を巡る諸課題の整理▽大学入学共通テストと個別選抜の役割分担、異なる選抜区分の意義と役割――の3項目に整理。

「大学入試を巡る諸課題の整理」では、共通テストと個別選抜の課題を、それぞれ列挙。共通テストでは▽大学教育に共通して(真に)必要な学力を問う科目構成の必要性▽個別入試との役割分担が曖昧。個別選抜では▽一部の大学において、大学教育に真に必要な学力の測定が不十分▽問題作成・実施運営を巡る負担増大――などとまとめた。

前回の会合で検討事項に加わった、ポストコロナ時代の大学入試や共通テストの在り方に関しては、▽個別入試に伴う越県移動リスク ▽共通テストのセーフティネットとしての役割の強化の必要性――などが挙がった。

会合の中盤、個別選抜の設問を大学独自で作成する、いわゆる「自前主義」が限界にきているという指摘を巡って、萩生田文科相が意見。大学教員の多忙さに一定の理解を示しつつも、「入試の作問は、学校の個性や目指す方向を受験生に分かりやすく示す、いい機会」と強調。「各大学には若手の准教授や講師がいる。このまま大学教員が多忙だから自前で作問できないとなると、大学の中で作問経験がある教員が、いずれいなくなってしまうのではないか心配だ」などと述べた。

これに対し、筑波大学人文社会系の島田康行教授は大学の現状を、「一刻の猶予もできない。忙しいのではなく人がいないため、なかなか作問できない状況にある」と説明。

アウトソーシングや大学間でのコンソーシアム、過去問を活用するなど、提案された新たな手法は進んでいないと明かし、「社会的理解が得られるか、大学側は自信が持てない側面があるのではないか。解決策として進めていく過程で、社会的理解が得られるかを慎重に考えなければいけない」と強調した。

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