STEM分野のジェンダー格差 日本は実態と意識にギャップ

 日本のSTEM分野のジェンダー格差に対する意識が低い実態が、スリーエムジャパンがこのほど公表した「科学に対する意識調査」の結果で明らかになった。理工系学部の大学進学などで女性の進出が日本の社会課題になっている一方で、国民の間ではあまりそのことが意識されていない可能性が浮かび上がった。

 この意識調査は科学に対する認識や感情、信頼がどのように変化していくかを把握するために2018年から行われているもので、今回は昨年9~12月に、日本を含む17カ国の18歳以上の男女約1000人ずつに実施した。

STEM教育へのアクセスを妨げる主な要因(上位3つを選択)

 質の高いSTEM教育を学生らが受けるための障壁になっている上位3つを聞いたところ、日本で最も高かったのは「STEMの教育指導者/教師の不足」で62%(グローバル平均は48%)、次いで「充実したSTEM教育に対する経済的余裕がない」が53%(同47%)、「個人的な負担が多過ぎて、学生がSTEM教育に集中できない」が52%(同37%)、「学校で受けられるSTEMの授業の欠如」が51%(同50%)と続いた。

 一方で、「STEM分野を目指す女子学生に対する偏見」は13%と、調査国中で最低値となり、アラブ首長国連邦を除くグローバル平均の23%とも差があった。

 また、「女性は十分なサポートが受けられないためにSTEM分野の仕事を離職している」という項目に対し、「同意しない」と回答した割合は44%、「STEM分野の労働力においてジェンダー(性別)による格差は改善されていると思うか」という問いに「改善されていると思う」と答えた割合は72%で、いずれも日本は調査国中で最高値となるなど、教育や社会におけるSTEM教育のジェンダー格差に対する実情と国民の意識の間には大きなギャップが生じていた。

 1996年に国際数学オリンピックに出場し、日本人女性初の金メダルを獲得した中島さち子steAm代表取締役(東京理科大学数学体験館副館長、大阪・関西万博テーマ事業プロデューサー)は、同調査の記者向け説明会のパネルディスカッションに登壇し、「STEM分野でジェンダー格差があると思っている人がそもそも少ない。その中で女性に向けたアクションがあると目立ってしまい、改善していると感じてしまうのではないか。日本ではアンコンシャスバイアス(無意識の偏見)が強く、ジェンダー格差を意識する段階に至っていない。まだ問題があると認識していない人の方が多い」と指摘した。

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