本連載ではこれまで、チャット相談の仕組みやSOSを出さなくても頼れる人につながる仕組みの重要性などをお伝えしてきた。最後となる今回は、これまでのことを踏まえて、「学校における孤独・孤立」を捉え直すことを提案したい。
前回、SOSを出さなくても支援につながる仕組みの重要性をお伝えした。今回は仕組み論ではなく、一人一人ができることにフォーカスを当てたい。
本連載の第6回で、子どものSOSを把握することは非常に難しいという話をした。「頼ることは恥ずかしい」「相談することは負け」といった内向きのベクトルのスティグマ(負の烙印)が存在しているためだ。実際に政府が今年4月に公表した「孤独・孤立の実態把握に関する全国調査」では孤独感が「しばしばある・常にある」が支援を受けていない人に理由を問うたところ、最も多かったのが「支援が必要ではないため」という回答だった。
今回紹介したいのは、子どもたちから「死にたい」といった相談を受けたときに役立つかもしれない思考法。それは「マイナスからゼロへ」という考え方だ。
この連載のタイトルは「子どものSOSを見抜くには-学校での孤独・孤立を防ぐ-」となっている。SOSとは、かつて船舶を中心に使われていた、モールス符号による遭難信号だ。船が危険な状態に陥っていることを外部に知らせるために使われていた。SOSという言葉は現代社会においてはごく普通に使われており、語源通りに受け取る人は必ずしも多くないだろう。
近頃、メディア・行政・支援団体などが「子どもの『孤立』を防ぐ」という言葉を頻繁に使っているのを目にする。一方、筆者が理事長を務めるNPO法人あなたのいばしょでは「望まない『孤独』を防ぐ」という言葉を使う。「孤立」と「孤独」は相互互換的に使われることが多いが、これらは全く別物だ。
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