【適応指導教室を改革する(7)】適応指導教室に通う子どもの「親の会」

【適応指導教室を改革する(7)】適応指導教室に通う子どもの「親の会」
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 「先生は指導しかしない。友達は同情しかしない。私は子どものことを普通に話したいだけなのに」

 適応指導教室に通っている子どもの保護者の言葉です。この言葉をきっかけに「親の会」を開くようになりました。卒業生の保護者が世話役となり、会の運営を行っています。つらい思いを受け止め合ったり、アドバイスし合ったり、時にはむき出しの思いが語られることもあります。保護者、特に母親の孤立は深刻だと実感しています。

 小さなトラブルが起きたことから、みんなが安心して参加できるようにするためのルールが作られました。

①話すのがつらいときは無理しなくてよいこと。

②自分と違う意見であっても否定しないこと。

③「親の会」で他の人が話したことは、会の終了後に他言しないこと。

④これからのことを考えていく会にすること。

 ④については、「学校の対応を批判するばかりの会にならないように」という先輩保護者のアドバイスがありました。そこにうずくまってしまうと解決が遠のくからです。

 私は一つのケースについて、子ども、保護者、先生、場合によっては他機関とも並行して相談を行っています。そこで感じるのは、それぞれの思いのズレとコミュニケーションの硬直化です。その経験から、それぞれの思いを伝え、関係をつなぐことも適応指導教室の大切な役割だと考えるようになりました。親子間の思いをつなぐこともありますし、親子と学校の間の思いをつなぐこともあります。第三者が入ることで、硬直化していた関係に変化が起こります。

 また、学校関係者向けの研修会で講師を務める際は、「親の会」で語られる保護者の本音や希望を積極的に伝えています。「保護者は指導ではなく、一緒に考えてくれることや支援が受けられる場所、進学先などの正しい情報を求めている」ことなどです。

 適応指導教室に通う子どもの保護者以外にも「親の会」への参加を希望する声が多く、数年前から自治体主催で「親の会」が開催されるようになりました。そこで相談を受けていて驚くのは、適応指導教室や支援を受けられる施設についての情報を知らない保護者が多いことです。保護者を支え、必要な情報を得やすい仕組みづくりが急務だと感じています。

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