仕事の主軸は「授業」 常に教材研究に取り組む

仕事の主軸は「授業」 常に教材研究に取り組む
iStock.com/Nuthawut Somsuk
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 前回の当紙面で教員の仕事について、主に1日のスケジュールを中心に紹介した。今回は、教員の仕事の軸である授業の教材研究の在り方など準備に焦点を当てて紹介する。

 授業はやはり教員の仕事の柱である。授業を構想したり、実際に進めたりする際の取り組みに必要な基礎・基本を紹介しよう。

学習指導案の作成

 まず、学習指導案作成について、手順、ポイントなどを見てみる。通常、手順は、次のようなものとなる。

 (1)題材を決める=まず、教科指導計画や教科書、学習指導要領を参考にして題材を決める。学年の横のつながりや学年間の縦のつながりも考える。

 (2)児童生徒の実態をつかむ=既習内容、前提となる知識の把握に努める。場合によっては、調査などを行うこともある。

 (3)教材研究を進める=素材の特性や系統性を明らかにする。教材研究の流れについては、また別の機会に紹介する。

 (4)目標を決める=学習指導要領をもとにして、児童生徒の実態を考慮して決めるようにする。単元の目標は観点別に、本時の目標は授業の終わりに示す行動目標として示す。

 (5)指導の流れを考える=どのような内容を、どのような流れで指導するか、展開を考える。児童生徒の反応を予想するなどして、複数の流れを考えておくこと。思考、活動、話し合いなどの時間を十分に取ることに留意する。

 (6)発問や資料などを準備する=いつ、どこで、どのような発問をするか、どのような資料を提示するか、児童生徒の反応を予測して、それへの対応を考える。一斉、小集団など学習形態も考慮する。

 教員採用試験においても、模擬授業の事前作業として学習指導案を作成させることがあるので、しっかりと学んでおきたい。

 なお、学習指導案の代表的な項目は次の通り。

 ▽単元名=題材、主題

 ▽単元について=単元の価値、教師の単元観、児童生徒の実態、指導上の留意事項などを記入

 ▽目標=観点別などで記入

 ▽指導計画=時間配分、本時の位置、評価計画など

 ▽本時の指導=本時の目標、本時の展開など

欠かせない教材研究

 前回の「教師の仕事を考える」でも触れたが、教員には持ち帰りの仕事が結構多い。その多くが翌日の授業についての教材研究であることが多い。

 授業では児童生徒に「分かる」「できる」を実感させることが重要だ。そのためには、何よりまず教員自身がその授業において「何を学ばせるのか」「どのように学ばせるのか」「どこで評価するのか」などをしっかりと把握している必要がある。そのような自信のある態度で授業を行うために必要なのは、十分な教材研究である。

 10の内容を教えたいなら、100の教材研究に時間を惜しまず取り組む覚悟が大切だという。「教員は体力勝負」ということがよく言われるが、教員になって教材研究のために慢性的な睡眠不足になるという状況を体験すると、それが本当であることを知るわけだ。もっとも現在は、働き方改革が進められ、このような状況の改善が目指されている。

 教員の多忙化が問題にされるようになって久しいが、現代の教員は本当に忙しいものである。それでも教材研究は授業の生命線であり、怠ることなく取り組まなくてはならないものであるということは変わりがない。児童生徒のためでもあるが、教員としての自分自身のためでもあり、教員のいわば使命、責任でもある。

 繰り返しになるが、教員は忙しい。それでも教材研究は事前に、それも前日などではなく、時間と余裕をもって取り組むべきものである。

 教材研究で意識したいことは次の通り。

 ▽この単元で何を教えたいのか(単元指導計画の立案)

 ▽ヤマ場の設定(授業計画の立案)

 ▽長期的な到達目標と短期的な到達目標の設定

 ▽教材の質を吟味し、児童生徒の思考を分類すること(類推的思考・演繹(えんえき)的思考・帰納的思考)

組織の仕事も大事である

 これまで述べたように、教員の仕事で最重要なのは授業、学習指導である。「教員は授業で勝負」ということがよく言われるように、教員の主な仕事は授業を行うことにあるのは間違いではない。それだけではなくさまざまな仕事があること、特に、学校は組織であり、教員はその一員であるということを理解しながら仕事をする必要がある。

 新任教員といえども学校運営上の何らかの役割を担い、組織人として仕事をしていかなくてはならない。教員が分担して学校の運営活動に参加することで、学校の課題を相互に理解するとともに、職能成長につながるのである。個々人の専門性を発揮する以上に他の教職員と一緒に、組織の一員として行動することが求められる。

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