9月になり、来年度の教採試験に受験を予定している者は、本格的な準備を始める時期となった。
ここでは面接対策として、まず手始めに考えておきたいこと、取り組んでおきたいことのポイントを紹介しよう。
まず、手始めに絶対に考えておかなくてはならないことが2点ある。「なぜ教員になりたいのか―教職への志望理由」と「どのような教員になりたいのか―目指す教員像」である。この2点はエントリーシートに記入を求められることも多いし、もちろん面接で問われることも少なくない。教員を目指すことの根幹でもあるので、しっかりと考えておきたい。
「教員を志望する理由」を考える際に重要なのは、教職への意欲、情熱、熱意をいかに表現するかということである。具体的なきっかけ、モチベーションを熱意を持って語りたい。教職とはどういうものか、その特性をしっかり押さえた上で、自分を教職に向かわせるものは何か、人との出会いや学校での体験などを具体的に語る。具体的に、というのは、例えば、自分の気持ちをしっかりと受け止めてくれた小学校の学級担任、厳しく優しく指導をしてくれた高校の部活動の顧問などを挙げながら動機を語っていく。ただ、長くならないように話を簡潔に分かりやすくまとめたい。
現在、学校現場は課題だらけだ。この課題に立ち向かう気力、活力のある人物を現場では求めているのである。教育に対する理想や夢を交えながら、熱意ある志望理由を述べてほしい。
どのような教員になりたいのか。自分が描く「目指す教員像」を具体的に語れるようにしておきたい。教員としての基礎的基本的な資質・能力を押さえ、教職に対する使命感や責任感、児童生徒に対する思いやり、分かる授業を実現するテクニック、児童生徒や保護者から得る信頼感、その基となるコミュニケーション能力などを打ち出していく。崇高な使命感は必要だが、あまり観念的なものに終始するのではなく、実践的な内容を含んだ理想の教員像を語りたい。また、その教員像を面接官がイメージできるように述べなくてはならない。
面接のために今から取り組むべきことは、次の3点を習慣付けることである。
(1)はっきりと話す
面接で口をあまり開けず、何を言っているのか分からないような話し方はいただけない。口をしっかりと開け、はっきりと話すようにしよう。声はできるだけ大きい方がよいが、部屋の大きさや面接官との距離で調整すればよい。授業では、はっきりと話さなくては児童生徒に伝わらない。そんな話し方しかできないのか、と思われないように今から気を付けたい。
最低でも、丁寧語を使い、自分の言葉で述べること。語尾を上げない、しっかりとした口調でゆっくり話せば、言葉は美しくなる。はっきりと元気よく話せば、若さと熱意を伝えることもできる。
(2)「聴く」姿勢を整える
面接は、質問を「聴く」ことから始まる。回答するには、質問をきちんと聴けてなければ無理である。質問の答えを伝えるためにはまずしっかりと「聴く」ことからである。質問法には「はい・いいえ」だけで回答が済むもの、答えを誘導し選択させるもの、考えてから答えさせるもの、などがある。それに対しての応答は、相手に伝わらなければ意味がない。伝えるだけでは十分でないことを心得よう。
まず、「質問の主旨は伝わっています」を相手に知らせるためにはうなずく、相づちを入れる、相手の目を見ながら聴く、ことがポイント。「聞く」と「聴く」の違いを理解し、多少オーバーに動くとよいだろう。
(3)考えを瞬時にまとめられるようにする
何を問われているのかがはっきりしたら、論理的に組み立てて、まずは結論を述べる。それから「起承転結」の必要項目に沿って理由や経緯を補足する。考えている間の沈黙が長いと面接官はいらいらするので、「そうですね」「まとめてみます」など相手を見て語りながら頭の中で組み立てること。来年の試験本番までにできるようになるため、日々練習してもらいたい。