合格に向けー課題を説く⑩教育目標を考える 子供、保護者らとも共有する

合格に向けー課題を説く⑩教育目標を考える 子供、保護者らとも共有する
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 どの学校にも、必ず教育目標がある。日々の教育活動は、校長が自校の学校経営の基本方針に示す教育目標達成を目指したものである。従って、経営の基本方針には、どのような子供たちを育てるのか、その達成のために、どのような教師像が望まれるのか、どのような学校像が望まれるのか、などが示されていることが必要である。それが「学校の教育目標」の文言に凝縮されて示されなくてはならない。できるだけ平易な表現で、教職員はもちろん子供たちにも分かりやすい表現(文言)が望ましい。

 学校の活動は、学校の教育目標に基づいて教育課程が編成され、教職員の組織や分掌があり、教育活動が計画的に日々行われている。その意味から、教育目標は、「知・徳・体」のバランスのとれた表現で示されているものが多い。また目標設定の根幹に関わる「不易と流行」という観点からすれば、教育という営みから主たるものは「不易」の部分といえる。なぜなら教育理念は、どんな時代になろうとも基軸がぶれるものでないからである。時流の中で「流行」にあたる部分では、その表現が抽象的で、目標として捉えづらいものも多く見受けられるようになったと感じている。注意したいものである。

子供たちにも分かる表現になっているか

 子供たちに、「あなたの学校の教育目標を知っていますか」と尋ねたら、何人の子供たちが答えられるであろうか。子供の実態を踏まえた目標を設定し、目指すべき子供像を描くことが大切である。そして、子供たち一人一人が具体的に自分の目指すべき方向・姿がイメージできることが大切である。校長をはじめとする教職員は、理念としての教育目標を子供たちにも分かる表現で具体的に示したり、校長講話や学級活動などで子供たちに何度も伝えたりし、子供たち自身のものになるようにしていくことが望まれる。

目標を共有すべく努力しているか

 よく学校評価で、「学校は教育目標を明確にしたり、説明したりしているか」などという項目が設定されている。例えば、学校だよりなどに標記してあればそれでよいというわけにはいかない。保護者らにも積極的な説明や具体的な取り組みを明確にする必要がある。

 年度当初の「保護者会」「学校経営概要説明会」などを活用したい。教職員らは「こんな子供たちを育てていきたい。そのためには、こんな取り組みに力を入れていきたい。…学校と家庭は車の両輪です。どうぞご理解とご協力をお願いします」などと説明をしたり、学校からの情報通信にそのことに触れたりし、理解と目標・取り組みの共有化を図ることが大切である。

構造化されているか

 現在、各学校においては児童生徒に対して教育基本法などで明確になった教育の理念をふまえ、「生きる力」の育成が求められている。そこで各学校では、具体的にはどういう子供を育てることなのかという視点で、自校の教育目標を定めている。それに加え、「信頼される学校づくり」「開かれた学校づくり」「安全・安心な学校づくり」など、今求められている学校の在り方をも加味した形での取り組みを構造化し、手順や方法など分かりやすく示すことが極めて重要である。

 校長をトップとする教員には、「どんな子供たちを育てるのか。それにはどんな学校にするのか、そのためにこのような教育計画で、学校経営をしていくのか」という、いわば学校経営のマニフェストを立案し、示し、推進できる能力が求められるとパワーである。そのため、校長ら管理職は、4月の当初から、考え方や学校の進むべき方向性を明確にすることが必要である。

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