【教育課程を学ぼう(28)】指導と評価の一体化

【教育課程を学ぼう(28)】指導と評価の一体化
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 2019年告示の現行学習指導要領に、カリキュラム・マネジメントが明記されたこともあり、国立教育政策研究所の学習評価の参考資料は『「指導と評価の一体化」のための学習評価に関する参考資料』とされた。この『参考資料』には、「『学習指導』と『学習評価』は学校の教育活動の根幹に当たり、教育課程に基づいて組織的かつ計画的に教育活動の質の向上を図る『カリキュラム・マネジメント』の中核的な役割を担っている」としている。

指導と評価の一体化とは

 指導と評価の一体化とは、学習指導と学習評価を分離せず、相互に関連させながら不断の授業改善に生かすとともに、児童生徒の学習状況の向上につなげることを意味する。学習評価は、その働きによって診断的評価、形成的評価、総括的評価に分けることができる。まず、診断的評価を生かすことによって児童生徒の学習状況等を把握し、指導計画の作成に具体化することができる。

 次に、学習指導の途中で適宜、形成的評価を進め、児童生徒の学習状況を把握し、授業のやり直しをしたり補充的な学習につなげたりすることができる。さらに、学期ごとの総括的評価を通して、学習指導の振り返りを行ったり、指導計画の改善につなげたりすることができる。

 児童生徒の学習状況を把握しながら、例えば少人数指導や習熟の程度に応じた学習を導入したり、教師間の協力による指導体制を整えたりすることも、指導と評価の一体的な取り組みといえる。このように指導と評価の一体化とは、学習評価の働きを生かしながら児童生徒の学習状況を改善するとともに、学習指導を不断に見直し、質の向上を図っていくことである。

具体的な手だて

 指導と評価の一体化を進める具体的な手だては次の通りである。

 第1に、指導計画を作成する際に、前年度までの学習指導の評価を踏まえることである。例えば、理解が比較的難しい学習事項、児童生徒によって学習状況の偏りが出やすい内容などを踏まえて、内容を重点化したり、配当時間を工夫したりすることが考えられる。つまり、学習指導の振り返りを踏まえた改善事項を、指導計画に反映・具体化することである。

 第2に、指導と評価を一体化した計画を作成することである。指導の目標、評価規準の設定を踏まえて、評価の場面と時期、評価の方法を指導計画に示すことである。指導計画は、ともすれば学習指導面の計画が中心となりがちであるが、学習評価を組み込んだ指導と評価の計画を作成する。

 第3に、学習評価の結果について、まず、児童生徒自身に振り返りをさせることである。例えばワークシートや中学校におけるペーパーテストなどについては、正答できなかった内容を必ず児童生徒自身に確認させる場面を設ける。さらに学習事項ごと、評価の観点ごとに学習状況を整理し、つまずきがちな事項を把握して指導上の課題を明確にし、指導の改善に確実に結び付けることが大切である。

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