【補正予算案】いじめ・不登校や「教員不足」の対策強化 文科省

【補正予算案】いじめ・不登校や「教員不足」の対策強化 文科省
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 岸田文雄政権は11月10日の臨時閣議で、2023年度一般会計補正予算案を決定した。このうち文科省の管轄分は1兆2912億円となる。児童生徒が1人1台のデジタル端末を使って学ぶ「GIGAスクール構想」の端末更新費として2600億円以上を確保したほか、いじめ・不登校対策や「教員不足」への対応などを強化する。

GIGA端末の更新は基金方式で

 大きな焦点となっていた公立学校のGIGA端末の更新方法については、年度をまたいだ予算執行が可能な基金方式で進めることを決め、その原資として2643億円を計上した。都道府県などに基金を設け、共同調達によってコストの抑制を図りながら、5年ほどかけて着実に買い替えを進める。また、国立や私立の学校、海外にある日本人学校などの端末更新も支援するため、基金とは別に18億円を予算化する。

高校段階でのデジタル人材育成強化

 高校段階でのデジタル人材の育成を強化するための事業費として、100億円を計上した。情報や数学教育に力を入れるとともに、ICTを活用した探究的な学びを強化する学校を対象として、1校当たり1000万円を上限に補助する。高性能パソコンや動画・画像生成ソフト、理数教育施設整備のほか、専門人材の派遣に要する費用なども支援対象とする。

「心の健康観察」の導入促進に10億円

 全国の小中学校や高校、特別支援学校のいじめ認知件数や不登校の子どもの数が22年度に過去最多を更新し、子どもの自殺者数も高止まりしていることを受け、早期に対策を強化するために計51億円を計上した。GIGA端末を使って子どもたちの変調を把握し、早い段階での支援につなげる「心の健康観察」の導入促進に10億円を投じるほか、不登校が多い全国の公立小中学校計6000校を対象に、校内教育支援センターを新たに設置するための経費として29億円を付けた。スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置拡充にも取り組む。

大学や民間企業と連携し、教員のなり手を発掘

 産休や育休を取得した教員の代役が見つからない「教員不足」への対応も強化する。大学や民間企業などと連携してなり手の発掘を進める予算として、5億円を計上した。元々は24年度予算案の概算要求に乗せていた事業だが、全国で教員不足が深刻化している現状を踏まえ、前倒しで取り組みをスタートさせる。

学校の老朽化対策や省エネ化も推進

 公立の小中学校や高校などの学校施設の老朽化対策や耐震補強、省エネルギー化などの施設整備費として、計2333億円という大きな予算を確保した。地球温暖化が進み、猛暑日が増える中、空調施設の導入を後押しして熱中症対策を進める。また、トイレの洋式化や校舎の高断熱化、照明のLED化といった幅広い施設整備費を補助し、安全・安心な教育環境づくりや温室効果ガスの排出削減を図る。

子どもの性被害防止の緊急対策に4億円

 子どもの性被害防止を目的とした「緊急対策パッケージ」が7月にまとめられたことを受け、これを踏まえた対策をこども家庭庁と連携して進める。幼稚園や特別支援学校のハード面での対策を支援する経費として4億円を計上。プライバシー保護のためのパーテーションを設けたり、保護者からの要望に応える形でカメラを設置したりする動きを後押しする。また、性犯罪の加害者や被害者、傍観者にならないようにするための「生命(いのち)の安全教育」の全国展開に向け、動画コンテンツ作成費用として3000万円を確保した。

部活動の地域移行推進に15億円

 今年度から3年間を「改革推進期間」と位置付けている部活動の地域連携・地域移行の動きを加速させるために15億円を計上した。地域でスポーツや文化芸術に親しむための環境整備を進めるため、先進的な取り組みを実施している都道府県を重点地域に指定して支援するほか、地域移行のモデル事業に取り組む市町村も増やす。

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