教員加配定数の配分、部活動ガイドラインの遵守を条件に 文科省

教員加配定数の配分、部活動ガイドラインの遵守を条件に 文科省
中教審「質の高い教師の確保」特別部会の審議(オンラインで取材)
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 中学校で部活動指導のために教員の長時間勤務が減らない実態があることから、文科省は11月15日、教職員定数のうち、少人数指導などの加配定数の配分について、適切な休養日を設けるなどとした部活動ガイドラインを遵守している学校を対象にする方針を明らかにした。来年度予算の執行から、この条件を適用する。部活動ガイドラインは学期中の部活動に週当たり2日以上の休養日を設けることなどを定めており、文科省では「適切な休養日などの設定が、全ての学校で速やかに実施されることを期待する」と、狙いを説明している。

 この方針は、同日開かれた中教審の「質の高い教師の確保」特別部会で、文科省の担当者が説明した。近く都道府県・政令市の教育委員会などに周知する。

 部活動ガイドラインは2018年に策定され、学期中は週当たり2日以上の休養日を設け、1日の活動時間は平日では2時間程度、学校の休業日は3時間程度を上限としている。今年4月に公表された22年度教員勤務実態調査の速報値によると、中学校教諭の休日における在校等時間は16年度に比べて1時間あまり減少して2時間18分になり、部活動顧問の週当たり活動日数が5日以下となっている割合は88.0%で、16年度の33.1%から大幅に増えた。

 この結果について、文科省では、部活動ガイドラインの効果がはっきりと現れているとみているが、一方で部活動に週当たり6日以上従事している顧問がなお6.7%(16年度は64.3%)いることを問題視。「学校の働き方改革の観点からも、全国の中学校が部活動ガイドラインを遵守することが重要」として、教職員定数の加配定数の一部について、学校が部活動ガイドラインを遵守しているかどうかを配分の条件とすることにした。

 部活動ガイドラインの遵守が配分の条件となる加配定数は▽指導方法工夫改善(チーム・ティーチング、少人数指導)▽主幹教諭のマネジメント機能強化(主幹教諭の授業代替など負担軽減)▽研修等定数(教職員が長期研修等に派遣される場合の代替措置等)。こうした加配定数は現在、小学校と中学校を合わせて3万人と算定されており、その一部が中学校に配分されている。文科省では、「来年度の加配定数の予算執行に当たっては、部活動ガイドラインに沿った部活動の実施について、申請時に約束してもらうことになる」(初等中等教育局財務課)と話している。

 この日の特別部会では、学校の指導・運営体制の充実が議題となり、支援スタッフの在り方について意見交換が行われた。教員業務支援員を全校配置している三重県で教員の時間外在校等時間が大幅に減少するなど、学校の働き方改革が進んでいる事例が報告される一方、委員からは「教員業務支援員の配置は学校の働き方改革に有効だが、多くの教員が自分の仕事をどうやって切り分けていいかが分からず、教員業務支援員に仕事を任せることができないという実態がある」といった指摘が出された。

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