【教育課程を学ぼう(29)】一貫教育における教育課程の基準の特例

【教育課程を学ぼう(29)】一貫教育における教育課程の基準の特例
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 小中一貫教育には、義務教育学校、小学校と中学校が併設関係にある形態、連携関係にある形態の3つの設置形態があり2016年度から実施されている。中高一貫教育には、中等教育学校、併設型、連携型の3つの設置形態があり、1999年度から実施されている。教育課程の編成に当たって、一貫した教育指導に寄与するため、教育課程の基準の特例が設けられている。

小中一貫教育校における教育課程の基準の特例

 第1に学習指導要領によらない小学校と中学校を一貫する教科などを設置して、一貫教育の軸とすることを可能としていることである。これまでの例ではふるさと科などの地域学習に関する取り組み、防災教育、言語能力の育成、キャリア教育、情報活用能力の育成に関する取り組みなどが見られる。この小中一貫教科などの設定は設置者の判断で可能となっており、義務教育学校、併設型、連携型のいずれも実施可能である。

 第2に、指導内容の入れ替えと移行に関する特例である。まず、入れ替えに関する特例とは、小学校の教科などと中学校の教科などについて、相互に関連する内容の一部を入れ替えて指導することができることである。次に、移行に関する特例とは、小学校段階と中学校段階相互の間で指導内容を移行して指導できることである。また、小学校、中学校それぞれの学年間の指導内容の移行も可能としている。この第2の特例は連携型小中一貫教育には適用されない。

中高一貫教育校における教育課程の基準の特例

 中等教育学校、併設型中高一貫教育校、連携型中高一貫教育校については、次のような特例が設定されている。

 中学校と高校が一貫した教育を実施する上での柱となる教科を設置するための特例である。中学校では選択教科を設置し、高校では学校設定科目または学校設定教科を設けて、連続して学べるようにする仕組みである。このことができるよう、まず中学校においては、教科の授業時数を減じて選択教科に充てることを可能にする。次に高校では学校設定科目および学校設定教科に関する科目の修得単位数を合わせて36単位を越えない範囲で、全課程の修了を認める単位数に加えることができる。通常の高校では20単位を超えない範囲とされているので、中高一貫教育にふさわしい特色ある取り組みを学校設定科目などで実施することが可能になる。

 続いて、中等教育学校および併設型中高一貫教育校において実施可能な、入れ替えと移行の特例である。入れ替えについては、中学校と高校の間で、教科や科目の内容のうち、相互に関連するものの一部を入れ替えて指導することができる。移行については、中学校と高校の間で内容の一部を移行して指導が可能であり、また、中学校の特定学年の教科の指導内容の一部を他の学年に移行して取り扱うことも可能である。

 小中一貫教育校および中高一貫教育校の特例に共通することは、一貫教育の軸となる教科など(中高の場合は教科)の設置を可能にしていることである。さらに、学校段階間の指導内容の一部の入れ替えおよび同じ学校段階における学年間の指導内容の移行を可能にしていることが挙げられる。新教科などの設置は、一貫教育としての特色を明確にすることに寄与する。指導内容の入れ替えや移行の特例は、9年間および6年間を通しながら児童生徒の実態や特性を踏まえた指導を可能にすることに寄与している。

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