教採試験では面接が重視される傾向が続いている。面接は話す内容だけではなく、礼儀、言葉遣い、柔軟性など多様で幅広い評価がされるため、対応するには時間をかけての練習が求められる。来年度の試験に向けて面接対応のポイントを数回に分けて紹介していく。面接攻略は1日にしてならず――。
面接の練習を受験仲間のAとBで行うと想定しよう。
(受験者役A、ドアをノックして入室。ドアを閉めてから面接官を見て、お辞儀をする)
A 「失礼します」
(面接官役B)
B 「どうぞおかけください」
(Aは着席)
B 「お名前と学校名をお願いします」
(Bは書類に目を移す)
A 「はい、〇〇大学教育学部4年Aです」
面接の練習は、同じ教員を目指す受験仲間と行うのがいい。2~3人のグループで繰り返し練習に取り組んでもらいたい。
では、どのような面接が行われるのか。いずれの自治体でも個人面接は実施される。その他に集団面接、集団討論、模擬授業、場面指導、グループ活動などの中から2種類程度が実施される。
面接試験は2次試験で行われるというイメージがあるが、1次、2次ともに導入している自治体も少なくない。1次で集団面接を実施している自治体もあるので、筆記試験だけではなく、面接対策をきちんと実践しておかなくてはならない。1次、2次とも、さらには3次でも面接を行う自治体もある。
形式は、個人面接はもちろん、自己PR、集団面接、集団討論、場面指導、ロールプレー、模擬授業とさまざまな面接が行われている。主な形式は次の通り。
▽個人面接=受験者1人に対し、面接官2~5人が対応。時間は10~30分程度で実施。エントリーシートや面接票に基づいて質問されるので、記入内容はしっかりと覚えておく。冒頭に自己PRが求められることもある。
▽集団面接=受験者3~5人に対し、面接官2~5人で実施。時間は20~60分程度。基本的に同じ質問がされるので、どのように自分の特色を打ち出すかがポイント。
▽集団討論=受験者3~10人に対し、面接官2~5人で実施。時間は20~60分程度。ある課題やテーマが示され、それについて自由な意見交換を行う。苦手意識を持つ受験者が多い。
自己PRを求められることが少なくない。
・自己紹介と自己PR
・自分の長所と短所
・卒論について
・教員の志望動機
・学生時代に力を入れたこと
・部活動について
・なぜこの自治体を選んだのか
・どこが教員に向いていると思うか
・ボランティア活動の経験
・教育実習で学んだこと
・教員になるためにどのような努力をしたか
このような質問が多く出される。それほど、珍しい質問内容は見当たらない。このように想定できる質問については、早い時期からどのように答えるか、準備をしておくことが求められる。
個人面接では、やはり受験者自身に関する内容が多い。「個人面接で聞かれたことは、エントリーシートに書かれていることがほとんどであった」ということも珍しくはない。エントリーシートまたは志願時に提出する自己PRに関する書面は面接において非常に重視される。うそや突っ込んで聞かれたら困ることは書かないこと、書いた内容はきちんと覚えておくことが大事だ。
臨時採用の経験者には、授業で力を入れたことなど実際の経験に関して突っ込んだことが聞かれることを覚悟しておくとよい。それまでの自分の実践を振り返ってまとめておこう。
他の自治体との併願状況を聞かれることも多いようだ。正直に回答して差し支えないだろう。
教育に関する質問を見てみよう。
・学級経営で大切にしたいことは何か
・理想の授業はどのようなものか
・思いやりを育むためには何を重視するか
・地域連携が重視されているが、どのようなことをしたいか
面接では、聞き手のことを考え、相手が聞きやすい話し方を心掛ける必要があるが、その主なポイントを次に挙げておく。
▽明るく張りのある声で話す
▽聞き取れるように話す
▽やや低めの声で話す
▽語尾をはっきりと述べる
▽姿勢よく、腹式呼吸で発声する
▽一言ずつはっきりと話す
▽聞き手の人数や距離を考慮して話す
このほか、若者言葉から脱却する、敬語を的確に使えるようにする、外来語、専門用語、流行語、略語などを多用しない、なども留意しておくとよい。