先生の子どもも大変です。「先生の子どもだから、きちんとしていないといけない」「先生の子どもだからできて当然」など、「先生の子どもだから…」と周りの人からの目に見えないプレッシャーを感じているようなことはないでしょうか。
「そんなこと気にしなくてもいいじゃない」と言えばそうですが、学校で多くの子どもや保護者に接していると、「こういう育て方はこんなすてきな子どもになる」や、問題行動に直面すると「こうにはなってほしくない」という気持ちとともに、保護者の育て方と自分の子育てを比較してしまうことがあります。自分の子どもの健やかな成長を願っているゆえんでもあります。
ところが、ママ先生は十分な時間がないため、子どもの成長をじっくり待つ余裕がなく、せっかちにあれこれ先回りして言い過ぎたり、やり過ぎたり、できなくてイライラしたりすることが増えていきます。
例えば、朝の支度でも学校に間に合うように急いでいるので、「早くしなさい」が口癖になりがちです。それでも子どもが動かないと、つい手を貸してしまいます。「子どもは、小さい頃から自分でできることは失敗しても自分でやれるように促し、見守るのがいいんです」と、保護者には話をしているのに、子どもがぐずぐずしていてパパッとできないと「あーもう早く!早く!」と、イライラしながら手伝ってしまうのです。家に帰ってからも、夕食を作り、食べさせ、片付けをし、お風呂に入れて、「歯磨きをしなさい」「宿題はしたの?」「明日の準備はやったの?」などと、子どもを流れ作業のようにあおり続け、その都度、「早くしなさい!」とイライラを募らせてしまいます。そして、「うちの子はなぜ自分でできないのだろう…」と、できている教え子と比べます。
加えてこうした毎日を繰り返す中で、ゆっくりと子どもと話す時間もありません。今日あったことや覚えたこと、できるようになったこと、友達との会話、気になっていることや困っていることなど、本当は聞いてあげないといけないことを聞けないまま、1日が過ぎていってしまいます。先生でありながら、一番得意なはずの子どもの感情や状況の変化を、自分の子どもには気付けなくなってしまっているのです。当の子どもも親がじっくり話を聞いてくれないことに慣れてしまい、諦めてしまっている可能性もあります。
大切なのは他の子どもと比べないこと。そして、イライラせずに「一人時間」をつくって心の安定を図ること。クラスの子の保護者に話しているように、自分の子どもに向き合うことです。