一般社団法人子育て心理学協会代表理事
働くママが7割を超え、パパも子育てに参加していく世の中になってきました。また、学校でも働き方改革が進み、ワーク・ライフ・バランスが取り入れられ、ママ先生やパパ先生が学校と家庭を両立しやすい環境になってきています。しかし、家庭で見せるお子さんへの関わり方が、将来大人になったお子さんに影響を与える可能性を考えておく必要があります。
「ボクはママのこと大好き。ママはボクのこと一番好きなの?と息子に言われた時、ハッとしました」という話をママ先生から聞いたことがあります。「ボクはママが一番大事だけど、ママは学校の子どもと自分とどっちが大事なんだろう?」というお子さんの素直な気持ちだったのでしょう。
ご自身の子育ての大変さは、先生として貴重な体験です。その体験から教え子の保護者の気持ちが見えてきます。そして、保護者の苦労も想像できます。それは、子育てをしている先生だからこそ分かることです。例えば、子どもが2人いる保護者は、子育ての手間は3倍になります。
教育と子育ては、似て非なるものです。学校では先生でも、家ではママなのです。学校では、子どもの指導が上手でも、家では子育てに悩みを持つものですし、失敗することもあります。ママ先生ということで、周りのママ友からは頼りにされ、子どもの悩みを相談されることも少なくありません。
自分の心の安定や笑顔は、学校での教育においても、そしてわが子の子育てにおいても大事です。ほんの少しでも一人になる時間をつくることができれば、ココロにゆとりができます。イライラしていると、つい子どもにも家族にも当たってしまいます。ひとり時間(私はそれを「ご自愛」と言っています)に何をするか。例えば、買い物、読書など、これらを全て「ひとり」ですることがポイントです。
ママ先生はイライラがたまってくると、「駄目な親」「先生としてうまくいかない…」などと、ネガティブな気持ちが膨らみ続けます。すると、学校の仕事も家庭の子育てもうまくいかなくなっていきます。そうならないようにするには、自己肯定感を高めることが大事です。自己肯定感が高まると、ネガティブな気持ちが減っていきます。
先生の子どもも大変です。「先生の子どもだから、きちんとしていないといけない」「先生の子どもだからできて当然」など、「先生の子どもだから…」と周りの人からの目に見えないプレッシャーを感じているようなことはないでしょうか。「そんなこと気にしなくてもいいじゃない」と言えばそうですが、保護者の育て方と自分の子育てを比較してしまうことがあります。
先生という仕事は、エンドレスです。学校の子どもたち一人一人の成長を願い、その様子を観察し、家庭とも連絡を取り、その子に必要なことをやり続けます。授業であったり、生活指導であったり、友達との関わり方であったり、子どもたちと話して情報収集しながら、一人一人に適した支援を工夫しています。そうした支援を工夫すればするほど、エンドレスな仕事になります。
「ごめんなさい。迎えに来るのが遅くなってしまって」 学校が定時になり、さっと帰ろうと思っていたら、そのタイミングで保護者から連絡が入り、大まかに事情だけは聞いたのですが、結局お迎えが遅くなってしまいました。「この仕事をしている限り、こんな生活が続くのかなあ」ママ先生は、なかなか解決に向かわない状況に苦悩が続きます。
学校の子どもからは慕われ、保護者からの評判は上々。でも、「わが子」への子育てというと…。そんな能力をもっているはずの先生が、自分の子どものことになると、うまくいかないことが多いのです。本連載では、そんなママ先生が少しでもほっとできる具体的なアドバイスをお伝えしていきます。
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