ご自身の子育ての大変さは、先生として貴重な体験です。その体験から教え子の保護者の気持ちが見えてきます。そして、保護者の苦労も想像できます。それは、子育てをしている先生だからこそ分かることです。
例えば、子どもが2人いる保護者は、子育ての手間は3倍になります。一人から2人になるだけで、きょうだいげんかが起きたり、どちらかの子が拗ねたり、病気がうつったり、思いもよらないハプニングが連続したりします。子どもの数が2倍になると、手間は3倍になるのです。
子どもを2人以上育てることがどれほど大変なことなのか、身をもって感じることができるからこそ、保護者の大変さや気持ちが見えてくるのではないでしょうか。
子育てをしていない先生から見れば、子どもが2人になっても手間が3倍になっているとは思えないでしょう。2人きょうだいの大変さは、2人の子育てをしたママにしか分からないことです。そして、この大変さを乗り越えることで、子育ての方法や知識を新たに身に付けていくことができます。
そんな苦労を共に乗り越えた子育ての「同志」であるママ先生に対しては、保護者も信頼をし、自分の子どもについて相談しやすいと思います。同志だからこそ、より安心感を持ってもらえます。日頃、先生と母親の両方をやり、大変な思いをしていることが、保護者からの信頼として生きてきます。
「うちの子はなかなかゲームがやめられないんです」「私の言うことを聞かずに反発するんです」「すぐに下の子にちょっかいを出すんです」といった相談から、「先生は、子どもがきょうだいげんかをしたとき、どうされますか?」などと先生がどのように子育てをしてきたかを聞かれることもあるでしょう。
子育て上の難しい問題に、正解は必要ではありません。一人のママとしての経験をお話すればいいでしょう。先生なりに最善だと思った方法を保護者にお伝えするのです。「自分の場合はこうした」とか「自分の場合はこう考えた」と話すことで、保護者は子育ての悩みが共有できてほっとするでしょう。
保護者は、学校でも家庭と同じような視点で、保護者と同じ気持ちで、見てもらっているという安心感が得られます。ママ先生は、保護者と子育ての苦労を共感し、より保護者にも子どもに安心感を生み出すことができるのです。